競業避止義務はどこまで有効となるか!?⑧ ~三田エンジニアリング事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
退職又は解雇後の競業避止義務の有効性について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
社員は退職後、とある競業他社に就職をしました。会社の就業規則には退職後1年間は競業他社に就職をしてはならない旨の規定があり、これに抵触した場合は退職金の返還を求めることとなっていました。会社はこれに基づき支払い済みの退職金の年間を求めて提訴しました。
◆事件の争点
①競業禁止規定
②退職金返還請求の理由
◆判決の判断
①本件競業禁止規定は、会社の社員に対し、退職後1年間、会社の承認を得ないで会社と競合する事業を行うこと及び競業他社への就職をしてはならない旨を規定している。このような本件競業禁止規定は、当該社員が本来自由に行うことのできる事業の実施や第三者との雇用契約の締結を制限しようとするものであり、社員の職業選択の自由に対し広範かつ重大な制約を加えるものであるにもかかわらず、本件競業禁止規定の適用を受ける従業員に対して、何らの代償措置も講じられていない。
②社員は入社してから退職するまでの間、一貫してビルの空調自動制御装置・システムの保守点検・調整、機器交換等の作業に従事してきたのであり、しかも、これらの作業は主に機械メーカーの操作説明書に従って行うものであったことが認められるのであって、機械メーカーの操作説明書に従って行う保守点検等の作業ノウハウが、その性質上会社の営業機密に当たるとは認め難いといわざるを得ない。その他、社員が会社を退職した後に転職することにより、会社の営業機密を開示、漏洩し、あるいはこれを第三者のために使用することとなるとの事情は認められない。そうすると、社員が会社を退職した後に転職したとある競合他社が会社と競業関係にあるとしても、社員が会社に転職したことによって会社の営業機密を開示、漏洩し、あるいはこれを会社のために使用することとなるとは認められないのであるから、社員の会社への転職は本件競業禁止規定の禁止するところではないものというべきである。したがって、本件競業禁止規定に違背することを前提とする会社の請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。
◆まとめ
本件は機密漏洩の誓約書を締結していましたが競合他社に就職しただけでは漏洩に当たらないとされ、結果競業禁止義務は認められませんでした。代償措置がないというのは他の裁判例等ではよく見かけるため、競業避止を設ける際は代償措置を準備したほうが良いでしょう。
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