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資格取得費用や留学費用は賠償予定にあたるのか!? ~みずほ証券事件~

東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!

 

資格取得費用や留学費用を会社が立て替えた結果、条件を満たさずに退職等に至った結果、費用の是非について争った裁判例を紹介します。

 

賠償予定についてもっと詳しく知りたい方は こちら!

 

 

 

【目次】

◆事実の概要

◆事件の争点

◆判決の判断

◆まとめ

 

 

__________________________________________

 

 

◆事実の概要

会社は公募留学制度を運営しており、その目的は国際的視点に立った視野の広い人材の育成、グローバルな環境下でリーダーシップを発揮できる人材の育成でした。

留学する場合は次の内容の誓約書を提出する必要があります。

 

「留学期間中に特別な理由なく退職する場合あるいは解雇される場合、また、留学終了後5年以内に特別な理由なく退職する場合あるいは解雇される場合には、当該留学に際し貴社が負担した留学に関する以下の費用を退職日までに遅滞なく弁済することを誓約いたします」

 

これに応募した社員は約2年間留学した後、半年程度で自己都合退職をしました。これに対して会社が留学費用の返還を請求しました。

 

 

◆事件の争点

 

①消費貸借契約の成否

 

②返還合意は労働基準法16条(賠償予定の禁止)に該当するか

 

 

 

◆判決の判断

①本件契約書には、「留学期間中に会社を特別な理由なく退職する場合あるいは解雇される場合、また、留学終了後5年以内に、会社を特別な理由なく退職する場合あるいは解雇される場合には、会社が負担した留学に関する以下の費用を退職日までに遅滞なく弁済する」と記載されており、社員が留学を終了してから5年以内に会社を自己都合退職などした場合には、会社が支払った社員の留学費用を返済するという被告の意思が明確に表示されているといえる。社員が留学終了後会社に5年間勤務した場合には同支給金に係る返還債務を免除する旨の特約付きの消費貸借契約が成立している。

 

 

②労働基準法16条が、使用者が労働契約の不履行について違約金を定め又は損害賠償額を予定する契約をすることを禁止している趣旨は、労働者の自由意思を不当に拘束して労働関係の継続を強要することを禁止することにある。そうすると、会社が負担した留学費用について社員が一定期間内に退社した場合に返還を求める旨の合意が労働基準法16条に違反するか否かは、その前提となる会社の留学制度の実態等を踏まえた上で、当該合意が社員の自由意思を不当に拘束し労働関係の継続を強要するものか否かによって判断するのが相当である。本件留学制度の選考に応募するか否かは、会社の業務命令によるものではなく社員の自由な意思に委ねられており、その留学先や履修科目の選択も労働者が自由に選択できるところ、基本的に、留学期間中の生活については社員の自由に任せられていた。公募留学生の留学終了後の配属先は、必ずしも留学先大学において取得した資格や履修科目を前提とした配属になっていないことからすれば、本件留学制度による留学は、会社の業務と直接関連するものではなく、また、会社での担当業務に直接役立つという性質のものではないといえる。むしろ、社員を含む公募留学生は、留学によって会社での勤務以外でも通用する有益な経験や資格等を得ている。そうすると、本件留学制度を利用した留学は、業務性を有するものではなく、その大部分は社員の自由な意思に委ねられたものであり、社員個人の利益となる部分が相当程度大きいものであるといえ、その費用は、本来的には、使用者である会社が負担しなければならないものではない。したがって、留学費用についての返還合意は、その債務免除までの期間が不当に長いとまではいえないことも踏まえると、社員の自由意思を不当に拘束し、労働関係の継続を強要するものではないから、労働基準法16条に反するとはいえない。

 

 

 

◆まとめ

本件は消費貸借契約有効、労働基準法16条には抵触しないとなり、元社員は留学費用を返還することとなりました。留学は任意であり、業務命令ではない事、留学先の履修科目が直接業務に連動しない事、他の会社に勤めても留学経験自体は個人の財産になることが主な要因だったと思います。

 

いかがでしたでしょうか?資格取得の費用補助をしてあげたいがどうすればよいかわからない、資格取得をさせたいけれどもすぐやめられては困る等お悩みの方はお気軽に東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問合せください

 

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