マタハラで訴える従業員のケース⑥ ~コナミデジタルエンタテインメント事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は会社がマタハラで訴えられたケース(コナミデジタルエンタテインメント事件)をご紹介いたします。
ハラスメントの詳細は こちら!
【目次】
◆事件の概要
◆判決の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事件の概要
女性社員は平成19年10月より、ライセンス部にてゲームに関する海外ライセンス取得業務に従事するようになりました。その後、平成20年7月16日から産前産後休業を取得し、同年10月1日から育児休業を取得し、平成21年4月16日に復職しましたが、同年12月までは育児短時間勤務を希望しました。会社は復職について女性社員を、ライセンス部内ではあるものの、海外ライセンス業務ではなく国内ライセンス業務に従事させることとし、本件担務変更に伴い役割グレードを引き下げるとともに、平成20年度を査定対象とする成果報酬をゼロと査定するしました。またグレードの引き下げに基づく年俸の激減緩和の観点から調整報酬を支給しました。結果、女性社員の年棒額は640万円から520万円の減額となったため、担務変更に伴う職位の引下げと年俸減額が育児介護休業法等に抵触するとして訴えを起こしました。
◆判決の争点
①担当業務変更の合理性
②年棒変更についての人事権の濫用について
③平成20年度成果報酬ゼロ査定について
◆判決の判断
①女性社員が担当していた海外ライセンス業務は、他の者に引き継ぎされ特段の支障がなかったこと、会社は、海外ライセンス業務に係る重要なライセンサーから会社側担当者の頻繁な交替についてクレームを受けていて、担当者を固定化する必要があったこと、女性は復職に際し本件時短申出をしていたことからすると業務が繁忙となる海外ライセンス業務に戻すことは業務遂行の観点から困難な状況にあったこと、国内ライセンス業務の前任者がその適性及び能力に問題があったため後任者として間違いのない者を置いて同業務を完遂させる必要があったこと等から、本件担務変更は、不合理な点は見いだせない。
②女性社員の従前年俸額中の役割報酬550万円と新年俸額中の役割報酬500万円との差額は50万円であり、これは役割報酬の額を基準とすると約9%の減額である。支給月額では毎月4万円強の減収となるものの、他方で新年俸額には調整報酬として20万円の支給が決定されている。これを役割報酬の減額を緩和するものとして扱うと、役割報酬の額を基準とすると約5.4%の減俸率となり、支給月額では毎月2万5000円の減収にとどまり、相応の減額緩和措置になっている。本件役割報酬減額について人事権の濫用があるとはいえない。
③女性社員は産休を取得するまでの3カ月間は業務実績をあげていること、成果報酬は部門業績及び会社業績も考慮して決定されるものであること等を併せ考えると、本件成果報酬ゼロ査定は、査定上、考慮すべき事項を考慮していないというべきであり、裁量権を濫用したものと認められる。
◆まとめ
本件は担当業務変更が不合理ではないとされマタハラの認定はされませんでした。賃金減額緩和措置として調整報酬を支給していたことが大きな要因と思われます。ただし、平成20年度に評価すべき査定を0としたことは裁量権の濫用とされこの点につき30万円に支払い命令が下されました。
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