裁判例から学ぶマタハラの考え方 ~シュプリンガー・ジャパン事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は育児休業前の勤務態度に問題があり復職を拒否された裁判例をご紹介いたします。
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【目次】
◆事件の概要
◆判決の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事件の概要
女性社員は、平成22年10月31日に第一子を出産した後、1回目の育児休業を取得して、平成23年7月から職場復帰し、休業取得前の業務に従事した。上司は、平成26年3月、女性社員に交付する注意書を起案しました。その内容は①平成25年の目標設定文書の提出が約5カ月遅れ、注意を受けたにもかかわらず、平成26年の時も何度も督促を受けたが、優先順位が低いなどと述べて、その後提出された書類の一部は白紙であった、②出退勤時に挨拶をするルールを守るという行動にも出ていないことは著しい協調不良であるといった趣旨のものでありました。しかし、女性社員に注意書は交付されませんでした。女性社員は平成26年8月から休暇に入り、同年9月2日に第二子を出産した後、2回目の育児休業を取得した。休業直前の女性社員の給与は、年俸は約560万円とされていました。平成27年3月、女性社員が会社に対し、職場復帰の時期等の調整を申し入れたところ、会社の担当者らは、チームの業務は女性社員を除いた7人で賄えており、復帰を希望するのであれば、海外の子会社に転籍するか、収入が大幅に下がる総務部のコンシェルジュ職に移るしかないなどと説明して、女性社員に対して、退職を勧奨し、同年4月分以降の給与は支払われたものの、就労を認めない状態が続きました。会社は、同年11月27日付けの書面により、同月30日限り解雇する旨を通知しました。女性社員は、会社の退職勧奨や自宅待機の措置が均等法や育休法の禁ずる不利益取扱いに当たるとして、解雇無効の訴えを起こしました。
◆判決の争点
①均等法及び育休法の趣旨
②問題行動
③解雇の有効性
◆判決の判断
①会社は、妊娠等以外の解雇事由を主張しているが、それが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないことを認識しており、あるいは、これを当然に認識すべき場合において、妊娠等と近接して解雇が行われたときは、均等法9条3項及び育休法10条の各規定に反しており、少なくともその趣旨に反した違法なものと解する。
②女性社員の問題行動に対して、段階を踏んで注意を与え、軽い懲戒処分を重ねるなどして、女性社員の態度が改まらないときに初めて退職勧奨や解雇等に及ぶべきである。弁護士や産業医等専門家の助言の内容に照らせば、復職を受け入れた上で注意・指導、場合によっては解雇以外の処分を行うなどして、改善の機会を与えることが出来たと言える。会社は法律上の根拠を欠いたものとなることを十分に認識することができたものとみざるを得ない。
③本件解雇は、客観的に合理的な理由を欠いており、社会通念上相当であるとは認められず無効である。本件解雇は妊娠等に近接して行われており、かつ、客観的に合理的な理由を欠いており、社会通念上相当であるとは認められないことを、少なくとも当然に認識するべきであったとみることができるから、均等法9条3項及び育休法10条に違反し、少なくともその趣旨に反したものであって、本件解雇は無効というべきである。
◆まとめ
本件解雇が妊娠等に近接して行われていることから、本判決では「妊娠等を理由とする解雇である」と推認したのではないかと考えられます。これに対して会社は均等法9条4項の「ただし書き」を適用してもらうために、本件解雇が「均等法9条3項に規定する事由を理由とする解雇ではない」ことを「証明」しなくてはなりません。会社は問題社員であることを取り上げているが、解雇相当であることを客観的に裏付ける具体的な事実が認められないとして、解雇無効となりました。小さな懲戒処分を重ねていけば違う結果が出ていた可能性はあるでしょう。
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