最近増えている!?内定の関するトラブル② ~エスツー事件~

東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は内定に関することで争った裁判例・判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
・外国人留学生に内定を出していた会社が、配属先の責任者が退職したため事業継続は難しいと判断して内定取り消し通知を行いました。外国人留学生はこれを不服として債務不履行ないし不法行為に基づき損害賠償請求の訴えを起こしました。
◆事件の争点
①勤務場所及び職種の限定はあったか
②内定取り消しの効力
◆判決の判断
①外国人留学生は、会社から内定を受け、これを承諾したことにより、会社との間に始期付き解約権留保付きの労働契約が成立した。本件内定通知書には、勤務場所としてニアショアサービス事業部、入社までの準備として関連資格の取得を目指すことを求める旨の記載はある。しかしながら、上記記載をもって直ちに勤務場所及び職種が限定されていたと認めることはできない上、会社の求人票には、ITエンジニアとは異なるサーバーエンジニアを募集する旨の記載がある上、就業規則には、勤務場所及び職種を限定せず、会社に配転命令権がある旨の規定があるから、本件契約において勤務場所及び職種の限定があったとは認められない。
②本件契約において解約権が留保された趣旨目的は、本件内定当時に予期しえない事情により入社が困難となった場合に、本件内定を取り消すことができるとしたものと認められる。会社は、責任者の退職に伴い、財務状況が悪化したことが認められる。しかしながら、会社が、責任者に、ニアショアサービス事業のほぼ全権を委ね、適切なマネジメント体制を構築せず、放置するなどしたことに由来するものというべきであるから、人員削減の必要性が直ちに正当化されるものではない。勤務場所及び職種の限定は付されていなかったのであるから、会社としては、内定取消しを回避すべく、あらゆる手段を検討すべきであったところ、責任者が退職したわずか2週間後に本件内定取消しを行っており、拙速である上、本件内定取消しの時点で未だ多くの外国人留学生とは連絡すら取れていなかったというのであるから、会社において真摯に内定取消しを回避する努力がされたとは認め難い。本件内定取消しは、権利濫用として無効である。外国人留学生に対する不法行為を構成する。
◆まとめ
・本件は予定していた新規事業の見通しが暗くなったため、内定取り消しを行いましたが権利濫用として無効となりました。判断の要素の一つに勤務地及び職種の限定が認められなかったことがありますが、この点に関しては徹底した勤務地及び職種限定を整えていた場合はどうなっていたのか気になるところです。
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