最近増えている!?内定の関するトラブル ~プロバンク事件~

東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は内定に関することで争った裁判例・判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
__________________________________________
◆事実の概要
求職者が面接終了時に月額総支給額40万円(45時間の固定残業代含む)、賞与120万円等とする採用内定通知書を受け取りました。その後会社から送られてきた労働契約書には月給302,237円、時間外勤務手当97,763円、退職金なしと記載されていました。求職者は労働契約書の署名を留保して、月給302,237円及び退職金記載なしの項目を削除して、月給400,000円と加筆して労働契約書を会社に提出しました。これにより労働契約が成立したとして月額給与及び賞与の支払いを求めて訴えを起こしました。
◆事件の争点
①労働契約について合意があったか
②労働条件変更の明示が適切か
③労働契約は成立しているか
◆判決の判断
①求職者は、労働契約法6条において賃金の額に関する合意は労働契約成立の不可欠の要件とされておらず、労働契約が成立していないとすることは労働契約法1条及び6条に違反する旨主張する。しかし、求職者と会社の間では、労働契約の締結に向けた交渉の過程で、賃金の額について合意できず、結局求職者が就労するに至らなかったのであって、「労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うこと」(労働契約法6条)についての合意があったとは認められない。
②求職者は、相手方が本件求人情報で当初明示した労働条件を採用面接の過程で変更したことになるが、職業安定法5条の3に規定する労働条件の変更の明示が適切に行われていないので、労働条件の変更がされていないことが推定され、当初明示された条件で労働契約が成立する旨主張する。しかし、本件求人情報の条件による労働契約が成立したとは認められないことは、前記で説示したとおりであり、職業安定法5条の3に規定する労働条件の変更の明示が適切に行われたか否かといった事情は、労働契約の成否に直接影響を及ぼさない。したがって、求職者の上記主張は採用できない。
③求職者は、採用内定通知書は労働契約の成立を前提に交付されるものであるから、本件採用内定通知書の交付を新たな労働契約の申込みとみるのは相当ではなく、会社側の認識としても、採用面接において会社から本件採用内定通知書記載の条件が提示され、求職者がこれに応じていることは明らかであるとして、少なくとも本件採用内定通知書の条件で労働契約が成立している旨主張する。しかし、そもそも、求職者は、採用面接において本件採用内定通知書記載の条件が提示されたことも、これに応じたことも否定する趣旨の主張をしているのであって採用面接において本件採用内定通知書の条件で労働契約が成立したことの疎明があるとは到底認められない。したがって、求職者の上記主張は採用できない。
◆まとめ
本件は会社が面接時に提示した条件で労働契約書を作成して、契約の締結を呼びかけたのにもかかわらず、求職者自ら任意の条件に変更して署名をしてくるという少し驚きの内容でした。しかるべき対応をしていてもトラブルに発展するケースとして有益な判決だったと思います。
お問合せは こちら!
マル秘資料が欲しい方はこちらから 無料ダウンロード!!
内定、内定取り消し、内定辞退、職場環境、就業規則、東京、中央区、港区 銀座、新橋、社労士、社労士事務所、社会保険労務士法人