事業場外みなし労働時間制の適用ってどうなの?⑤ ~日本インシュアランスサービス事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
最近最高裁でも判決があった事業場がみなし労働時間制の有効性について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
労働基準監督署から是正勧告を受けた会社が、調査業務等に従事する社員に事業場外みなし労働時間制を適用して、報告書作成をもとに割増賃金を支払ったところ実労働時間で算定すべきとして差額の割増賃金の請求を受けました。
◆事件の争点
①報告書算定時間の算定
②移動時間
◆判決の判断
①社員の業務執行の態様は、その労働のほとんど全部が会社の管理下になく、社員の裁量の下にその自宅等で行われているのであるから、休日における報告書作成時間等も、会社において管理しているものではなく、作成に要した実時間を会社において知ることができるものではない。したがって、一定の算定方法に基づき、概括的に報告書作成時間等を算定することにも合理性が存するといえる。そしてそのような算定方法は社内的な取決めにより決められることになろうが、本質的に会社に制定する権限があり、その裁量に委ねられているというべきであり、司法審査をするに当たっては、恣意にわたるような定め方や、時間外手当請求権を実質的に無意味としかねないような裁量権の逸脱が存するか否かの点に限って審査すべきである。会社の算定方法は、基本的に平日1日当たりの報告書作成時間等と同程度の時間の業務を行ったとの考えに基づくものであり、平日のみなし労働時間制は社員の業務執行の態様に合致したもので、十分な合理性を有するということができる。また、このみなし労働時間制という労働条件は、社員の採用時の交渉により決まったものであり、今になって否定できるものではないし、報告書の中には、相当短時間で仕上げられるものもあることが認められるから、会社の算定方法によることに、全体でならせば、ある程度実際の労働時間よりも短くなるとしても、裁量権の逸脱があるとまではいえないというべきである。
②社員はは自宅は職場ではあるが、休息の場でもあり、社員は、もともと客観的に使用者の拘束の度合いが低い状況で業務を行っているので、使用者の指揮命令下であるか否かは、社員の主観に依拠するしかないともいえる。そうすると、直ちにこの移動時間を実質的に労働時間と認めるには至らない。であれば、労働時間そのものではないが、業務に密接な関連性を有する時間である通勤時間と扱うことにも一定の合理性があるといえるところ、このいずれとするか、また一定範囲(距離・時間)で労働時間と扱い、それに当たらないものを通勤時間とするかは、やはり技術的・細目的な事柄に属するといえる。会社の取扱いについては、明らかに労働時間であるものをそうでないと扱っているなどの点は認められず、通勤時間となるもののうちでも、一定範囲で労働時間と扱おうというものであるから、合理性が認められるというべきである。
◆まとめ
本件は時間報告はなく把握もできない場合、概括的な算定でも合理性があり、実労働時間より短くなるとしても、裁量権の逸脱ではないとしました。テレワークでも応用出来そうなケースといえるでしょう。
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