競業避止義務はどこまで有効となるか!?⑬ ~A特許事務所事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
退職又は解雇後の競業避止義務の有効性について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
特許事務所に勤めていた社員らが競業避止に関する誓約書を署名して提出したのにも関わらず、同業の特許事務所に再就職をしたとして会社は仮処分の訴えを起こしました。
◆事件の争点
①就職禁止条項の範囲
②就職禁止条項の内容
◆判決の判断
①本件就職禁止条項にいう、本件事務所の顧客にとって競合関係を構成する特許事務所等とは、会社の依頼者が会社に依頼している同一分野において、その当業者から依頼を受けている結果、会社の依頼者が依頼したとすればコンフリクトを生じ、弁理士法31条によりその依頼を受けることができない特許事務所等をいうと限定的に解釈するのが相当である。
②本件就職禁止条項は、一方当事者である社員らのみに対し、競合する特許事務所等への就職を禁止する義務を負わせるのみならず、同義務を履行するために、まず当該条項の意味内容を正確に把握したうえで、本件事務所の全顧客の依頼案件を把握するとともに、同一分野について、再就職しようとしている特許事務所等が当業者から依頼を受けているか否かを調査するといった義務を事実上負担させるものであって、社員らの職業選択の自由を大きく制約するから、会社は、信義則上、社員らに対し、本件就職禁止条項の意味内容を明確に説明するとともに、社員らが同条項を容易に履行できるように必要な情報を提供する義務がある。社員らは補助業務に従事していたにすぎず、本件事務所を退職後、早急に再就職が求められている状況において、本件就業禁止条項により事実上、従前の経歴が活かせる特許事務所等への再就職を断念させることにもなりかねないほど、大きな制約を与えるというべきで、上記制約に対する代償措置が何ら採られていないなどの点を総合考慮すれば、本件就職禁止条項は、社員らの職業選択の自由を不当に制約するものであって、公序良俗に反し無効(就業禁止仮処分命令申立却下)。
◆まとめ
本件は誓約書に署名をして会社に差し入れたにも関わらず、代償措置もなく制約が大きすぎるとして公序良俗に反し無効となりました。従事していた業務が補助業務であり、基幹的業務ではなかったことも大きなポイントでしょう。
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