競業避止義務はどこまで有効となるか!?⑪ ~トータルサービス事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
退職又は解雇後の競業避止義務の有効性について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
社員は技術習得のために会社の費用で米国研修を受講し、約6年間インストラクターとして加盟店の技術指導・車両関係事業の直営施工を担当していたが、翌年一身上の都合により退職して類似の事業を開業して、会社の顧客とも取引するようになりました。会社は、社員の行為が機密保持契約に基づく競業避止義務違反として、損害賠償の支払いおよび競業の差止めを求めました。
◆事件の争点
①競業避止により保護される利益
②損害賠償
◆判決の判断
①競業禁止によって守られる利益が、営業秘密であれば、営業秘密はそれ自体保護に値するから、その他の要素に関しては比較的緩やかに解し得るといえる。会社の補修・修理の技術、並びに顧客情報のうち、各技術の内容およびこれをフランチャイズ事業化したところに、会社の独自性があるということができ、一般的な技術等とはいえないというべきである。不正競争防止法にいう営業秘密には厳密には当たらないが、それに準じる程度には保護に値するということができる。会社の技術は、営業秘密に準じるものとして要保護性の高いものである。多額の費用や多くの手間を要して技術を取得させたもので、秘密を守るべき高度の義務を負うとするのが衡平に適うといえる。また、代償措置としては、独立支援制度としてフランチャイジーになる途があること、その待遇については通常よりも好条件とする趣旨を述べたことが認められ、必ずしも代償措置として不十分とはいえない。そうすると、競業を禁止する地域や期間を限定するまでもなく、社員は会社に対して競業避止義務を負うものというべきである。
②競業禁止特約の誓約書には、「損害賠償の予定」を定めているところ、競業禁止特約の効力が認められる以上、損害賠償の予定も有効である。職中の労働者を足止めしようとするものではないから、労基法11条違反の問題は生じないといえる。そこで、違約金として定められているフランチャイズ開業資金等に相当する金員540万円と、競業開始から提訴までのロイヤリティ280万円について、その7割を損害額として認定し、また、売上げの減少については、その全部が社員の行為によるものかどうかは明らかでないため損害を100万円と認定した。
◆まとめ
本件は技術の特殊性が認められ、かつフランチャイズ独立支援という代償措置もあったことから競業避止義務が認められ賠償命令が下されました。競業避止が認められた稀有な例ですが、代償措置と保護性の高い技術というこの2つが揃っていたことは大きなポイントでしょう。
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