競業避止義務はどこまで有効となるか!?⑩ ~三佳テック事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
退職又は解雇後の競業避止義務の有効性について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
金属工作機械部品の製造を生業としている会社で営業マンを務めていた社員が、会社を退職後、同業種の会社を立ち上げました。会社は元々の取引先からの仕事受注が減ったとして訴えを起こしました。
◆事件の争点
①競業が不法行為に当たるか
②自由競争の範囲
◆判決の判断
①元社員の競業行為が、社会通念上自由競争の範囲を逸脱した違法な態様で会社の顧客を奪取したとみられるような場合には、その行為は会社に対する不法行為に当たる。
②社員は、退職のあいさつの際などに本件取引先の一部に対して独立後の受注希望を伝える程度のことはしているものの、本件取引先の営業担当であったことに基づく人的関係等を利用することを超えて、会社の営業秘密に係る情報を用いたり、会社の信用をおとしめたりするなどの不当な方法で営業活動を行ったことは認められない。本件取引先のうち3社との取引は退職から5カ月ほど経過した後に始まったものであるし、退職直後から取引が始まったF社については、会社が営業に消極的な面もあったものであり、会社と本件取引先との自由な取引が本件競業行為によって阻害されたという事情はうかがわれず、社員の退職直後に会社の営業が弱体化した状況を殊更利用したともいい難い。さらに、代表取締役等の登記手続の時期が遅くなったことをもって隠ぺい工作ということは困難であるばかりでなく、退職者は競業行為を行うことについて元の勤務先に開示する義務を負うものでないから、社員が本件競業行為を会社側に告げなかったからといって、本件競業行為を違法と評価すべき事由ということはできない。
◆まとめ
本件は高裁での判決が覆り、競業避止に該当しないと結論付けられました。会社の営業活動が積極的ではなかったと指摘しているところは非常に興味深いと感じました。
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