退職の意思表示っていつまで撤回可能!?⑩ ~昭和女子大学事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
退職の意思表示をしたのにも関わらず、その効力について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
教授が助教授と意見が対立して、学長から事情聴取を受けました。学科長から学長に謝罪すべきと助言がありましたが、教授は対応を行いませんでした。さらに学監から詫び状を書くように示唆されました。当該大学では学長の意向で地位が決定するという事情があり、職を追われることを恐れた教授は詫び状を差し出しましたが学長はこれを拒否しました。教授として残りたいという強い希望から従順さを示すために自ら進んで退職の意思表示がある旨を示した方が良いと思うに至り、退職願いを提出しましたがその際に勤務を継続してやり直したい旨を告げ学長はこれを了解しました。その後大学は4月から自宅待機を命じ、研究所への配置転換や勤務期間を9月までとする形式をとるなどの在職のための条件を提示したが、教授はこれを受け入れませんでした。大学は5月分以降の賃金を支払わなかったため賃金の支払いと地位確認を求めて訴えを起こしました。
◆事件の争点
①意思表示
②合意解約の効力
◆判決の判断
①本件退職願は、文面上は退職を希望する意思表示のように記載されているが、その実、退職を余儀なくされることを何とか回避しようとして作成されたものにすぎず、しかも、最初の提出の段階から、教授の真意は明確に表明され続け、大学もこれを承知していたことが明らかである。大学は、要求した「書き物」としてたまたま「退職願」が提出されたことから、教授には退職の意思がないことを知悉しながら、あえてその文面を利用して原告を退職させようとしたものとみざるを得ない。
②大学が主張する解約合意に関する申し込みの意思表示は、民法93条の心裡留保に該当するが、当時意思表示の相手方たる大学において右真意を知っていたものであるから、これをもって両者間の雇用契約解約の申し込みとして有効なものと解する余地はない。
◆まとめ
本件は民法93条により退職願の意思表示は無効とされました。心裡留保が適用された典型的なケースと言えるでしょう。
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