退職の意思表示っていつまで撤回可能!?④ ~瀧本事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
退職の意思表示をしたのにも関わらず、その効力について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
会社の機密情報を不正に入手した社員が、取締役及び総務部長代理と面談を行い、翌日退職届を提出しました。その後、面談の際に退職届を提出しないと懲戒解雇となって退職金を得られなくなると脅され、また執拗な事情聴取を受けた結果提出したものであるため、強迫による取り消しを主張し、地位確認を求めて訴えを起こしました。
◆事件の争点
①懲戒解雇の示唆
②強迫の該当性
③総合考慮すると
◆判決の判断
①社員との面談の内容について、取締役及び総務部長代理が、同日の段階で、懲戒委員会が開催されることは確実で、懲戒解雇等の懲戒処分となる可能性もあると述べたとしても不思議ではない。面談時に社員に告げられたのは、懲戒解雇の可能性がある旨の内容であったに留まるものと認められる。
②取締役が机を叩き、青筋を立てて立ち上がって怒る場面があったことを裏付けるに足りる証拠はない上、結局、社員は、その場で退職届を作成するまでに至っていないのであり、これのみで強迫したと評価し得るか疑問である。面談の時間について、同日午後4時30分ころから午後7時30分ころまでであったと認められ、仮にトイレに行かせなかった事実があったとしても、社会通念から逸脱した強迫という状況があったかどうかは疑わしいといわざるを得ない。
③面談が実施された応接室が4畳半もないくらいの部屋であること等社員の主張する点を併せ各事情を総合考慮するに、嫌疑が掛けられ懲戒解雇の可能性、すなわち退職金が支払われなくなる危険があるという社員の意思決定に影響を及ぼす状況があったことは認められるが、これを超え、社員に対し強迫が加えられた事実まで認めることができない。
◆まとめ
強迫には該当しないとし、退職の意思表示は有効となりました。社員が人事総務関係のデータを不正持ち出ししたことや流用したことを疑わせる事実が判明してことも退職有効を後押しする結果になったと考えます。
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