退職の意思表示っていつまで撤回可能!?② ~日東電工事件~
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退職の意思表示をしたのにも関わらず、その効力について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
有期契約社員が雇用期間の途中に退職願を提出しました。ただし、退職日の記載はありませんでした。その後退職願に退職日の記載がないことから退職の意思表示をしたとはいえないとして合意解約の申込を撤回したと主張して争いました。
◆事件の争点
①辞職か合意解約の申し入れか
②撤回について
③承諾
◆判決の判断
①辞職は、労働者の一方的意思表示による労働契約の解約であって、使用者に到達した時点で解約告知としての効力を生じ、これを撤回することはできない。辞職の意思表示であるといえるためには、明確に辞職の意思表示であると解し得る状況であったことを要する。本件各退職願の記載内容からすれば、撤回の余地のない辞職の意思表示であると解することが相当であるといえるかは疑問を差し挟む余地があるし、就業規則の規定内容(自己の都合により退職を申し出て、会社の承認を得たときに契約社員としての資格を失う旨の規定や、「契約社員が退職しようとするときは、少なくとも14日前に所属上長を経て退職願を提出し、会社の承認のあるまでは従前の業務に従事し、かつ業務の引き継ぎを確実にしなければならない」との規定)も考慮すると、本件各退職願は、合意解約の申込みの意思表示であると認めるのが相当である。
②本件話合いにおける有期契約社員の言動は、その趣旨が曖昧というほかなく、それをもって有期契約社員が合意解約の申込みの意思表示を撤回したと認めるに十分なものであるとはいえない。むしろ、「撤回」との文言に関連する有期契約社員の言動は、会社都合による退職となるよう交渉する手段として行ったものにすぎないとみることもあり得る。加えて、有期契約社員が、本件各退職願の返還を求めるなどしておらず、(退職願の日付欄に作成日付を手書きするなど)合意解約の申込みの意思表示を撤回したことと整合しない行動をとっていたことも考慮すると、本件話合いにおいて、合意解約の申込みの意思表示を原告が撤回したと認めるには足りない。
③部長が、決裁者(所属部長)として有期契約社員の退職を承認し、有期契約社員に対し、本件退職願が会社に受理されていることを伝えているところ、これは、上記承諾を伝えたものといえる。したがって、遅くともその時点で、有期契約社員と会社間の労働契約は、合意解約によって終了したといえるから、有期契約社員の地位確認請求、賃金請求等には理由がない。
◆まとめ
本件はまず「辞職」か「合意解約の申し入れ」かを判断し、その上で合意解約の申し入れとし、会社の承諾を認め、労働契約は終了していることとなりました。承諾の前であれば撤回が有効になるため撤回をされたくない場合は直ちに合意解約申し入れの承諾を行うのが良いでしょう。
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