退職の意思表示っていつまで撤回可能!? ~A病院事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
退職の意思表示をしたのにも関わらず、その効力について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
病院が調査を行ったところ、臨床検査技師に医師の指示なく検体検査を行った等複数の非違行為が発覚しました。事業部長は話し合いの場を設けて懲戒処分を検討している旨を述べ、自己都合で退職するのであれば処分を行わない旨を伝えました。2回目の話し合いの際に臨床検査技師から退職の意思表示があり、病院はこれを承諾しました。その後退職書類の提出を求めましたが臨床検査技師はこれに応じず、退職の申込を撤回し、労働契約上の地位確認及び未払い賃金を求めて訴えを起こしました。
◆事件の争点
①退職の意思表示
②強迫に該当するか
◆判決の判断
①臨床検査技師が、本件面談の際に、退職する旨を述べるにとどまらず、退職することを前提とした打ち合わせを行ったり、退職することをその上司に伝えると事務部長が述べたのに異議を述べなかったり、本件面談の後にも、退職を前提とする行動を行っていることに照らせば、本件面談の際に臨床検査技師が述べた、「退職さしていただきます」との発言は、退職を考えているという趣旨の発言にとどまらず、確定的な退職の意思に基づいてなされた、合意解約の申込みの意思表示であると認めるのが相当である。
②事務部長は、臨床検査技師に対し、病院は非違行為があると考えており、懲戒処分を予定しているが、臨床検査技師が自主的に退職するならば懲戒処分はしない旨を告げて、臨床検査技師による選択に委ねたのであって、懲戒処分について明示的にも暗示的にも告げていない以上、本件労働契約の合意解約の申込みの意思表示をするように強迫したと認めることはできない。
◆まとめ
本件は口頭による退職の意思表示が及び承諾が有効となりました。本人が意思表示をした際に書面に落とし込めればよかったのですが、それでも退職有効とされた典型的なケースと言えるでしょう。
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