退職勧奨の進め方は慎重にすすめるべき!?④ ~日本アイビーエム事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
退職勧奨が思うように進まず争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
社員ら4人が任意退職者募集の制度に応募するよう勧奨を受けました。社員らは退職の意思はなく面談等は必要ないと会社に主張したところ会社は面談を断ると解雇もありうる旨を伝えてきました。これに対し違法な退職強要により精神的苦痛を被ったとして、会社に対して、不法行為に基づく損害賠償を請求しました。
◆事件の争点
①退職勧奨後の質問等
②退職勧奨の継続
③退職勧奨の違法性
◆判決の判断
①業績不振の社員が退職勧奨に対して消極的な意思表示をした場合、大企業ゆえの高い待遇と恩恵を受け続けることに執着するあまり、業務改善を求められる相当程度の精神的重圧から解放されることに加えて、充実した退職支援を受けられることの利点を十分に検討し又は熟慮しないまま、拒否回答をする者が存在する可能性は否定できない。また、退職者支援が有効な動機付けとならない理由は何かを知ることは、会社にとって、重大な関心事となることは否定できず、質問する等して聴取することを制約すべき合理的根拠はない。
②会社は、退職勧奨の対象となった社員がこれに消極的な意思を表明した場合であっても、直ちに退職勧奨のための説明ないし説得活動を終了しなければならないものではなく、会社に在籍し続けた場合におけるデメリット、退職した場合におけるメリットについて、更に具体的かつ丁寧に説明又は説得活動をし、退職勧奨に応ずるか否かにつき再検討を求めたり、翻意を促したりすることは、社会通念上相当と認められる範囲を逸脱した態様でなされたものでない限り、当然に許容されるものと解するのが相当であり、たとえ、その過程において、いわば会社の戦力外と告知された当該社員が衝撃を受けたり、不快感や苛立ち等を感じたりして精神的に平静でいられないことがあったとしても、直ちに違法となるものではない。
③当該社員が退職勧奨に応ずることによる有利不利の諸事情を比較検討した上で退職勧奨に応じない選択をしたこと、退職勧奨に応じない意思は堅固であり、変更の余地はないこと、したがって、退職勧奨のための面談には応じられないことをはっきりと明確に表明し、かつ、会社(当該社員の上司)に対してその旨確実に認識させた段階で、初めて、会社によるそれ以降の退職勧奨のための説明ないし説得活動について、社会通念上相当な範囲を逸脱した違法なものと評価されることがあり得る、というにとどまると解する。会社が、社員らに対してした退職勧奨又はその後の説明や面談等について、違法があるとは認められない。
◆まとめ
本件は違法な退職勧奨ではないと判断されました。退職条件が有利であったことが大きな影響を及ぼしたと考えます。
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