試用期間中にトラブル発生!?③ ~空調服 東京高判平28・8・3 事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
試用期間の是非を問うて争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
社労士有資格者として採用されたパート社員が、会議での発言(決算書は誤りという内容)を理由に試用期間中の解雇となりました。これに対してパート社員は解雇の無効等を求めて訴えを起こしました。
◆事件の争点
①採用の目的
②発言の是非
③解雇の合理性
◆判決の判断
①会社がパート社員を雇用したのは、会社における業況の拡大に対応した社内体制構築の一環としてであり、パート社員が社会保険労務士としての資格を有し、経歴からも複数の企業で総務及び経理の業務をこなした経験を有することを考慮し、労務管理や経理業務を含む総務関係の業務を担当させる目的であり、人事、財務、労務関係の秘密や機微に触れる情報についての管理や配慮ができる人材であることが前提とされていた。
②パート社員は、自らの経験のみに基づき、異なる会計処理の許容性についての検討をすることもなく、会社における従来の売掛金等の計上に誤りがあると即断し、上記のような手順を一切踏むことなく、全社員の事務連絡等の情報共有の場に過ぎず、また、必要性がないにもかかわらず、突然、決算書に誤りがあるとの発言を行ったものであり、組織的配慮を欠いた自己アピール以外の何物でもない。さらに、上記発言後のパート社員の行動及び原審本人尋問の結果によれば、パート社員において自らの上記発言が不相当なものであることについての自覚は乏しいものと認められる。
③パート社員のこのような行動は、会社がパート社員に対して期待していた労務管理や経理業務を含む総務関係の業務を担当する従業員としての資質を欠くと判断されてもやむを得ないものであり、かつ、会社としては、パート社員を採用するに当たり事前に承知することができない情報であり、仮に事前に承知していたら、採用することはない労働者の資質に関わる情報というべきである。本件解雇には、解約権を行使する客観的な合理的な理由が存在し、社会的に相当であると認められる。
◆まとめ
会議での不適切な発言を根拠になされた解雇が有効となりました。試用期間中の解雇は通常の解雇よりも広い範囲で認められるべきとされています。本件は不適切発言の自覚に乏しいことや、発言自体の問題性が大きな理由といえるでしょう。
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