上司は部下の監督責任をどこまで負うのか!? ~みよし広域連合事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
部下の監督責任を問うて懲戒処分を行った結果争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
ある職員が飲酒後、友人が飲酒運転をして、ひき逃げ事故を起こしていた車に同乗していたことが発覚し、懲戒免職となりました。この職員の監督責任を問われて所属長は戒告の懲戒処分に処されました。この懲戒処分を理由として定期昇給が行われなかったため、処分取り消しを求めるとともに差額賃金の請求を求めて訴えを起こしました。なお。事件当時所属長は病気休暇中でした。
◆事件の争点
①病気休暇中の責任
②休暇取得前の責任
③所属長の認識
◆判決の判断
①本件事件発生時、所属長は、病気休暇取得中であり、部下職員に対する指導監督を行うことは期待できず、管理監督義務の懈怠があったと認めることはできない。
②病気休暇取得前の期間については、所属長の地位にあり、部下職員に対する管理監督をすべき義務を負っていたというべきである。その管理監督の範囲としては、職務自体に関する事項にとどまらず、私生活上の行為に関し、公務に対する信用及び信頼を損なわないように指導監督することまで及ぶものと解される。所属長が、80名を超える部下職員に対して、直接かつ個別に管理監督を行うことが困難であることは明らかであるから、個々の職員に対する個別具体的な管理監督は、特段の事情がない限り、所属長の部下であり、各職員の直属の上司らに委ねざるを得ない。そして飲酒に絡む暴行事件が発生した際や、毎月の会議等において、上司らに対し、所属長は、公務員倫理意識の涵養や社会人としての自覚の徹底、飲酒運転防止についての部下職員への指導を指示したり、年末には、職員らに対し、飲酒運転や飲酒運転車両への同乗の禁止について注意喚起を行うなどしていたと認められ、所属長には、職位に求められる部下職員に対する管理監督義務の懈怠があったとまではいえない。
③所属長が、病気休暇取得前の時期において、職印が飲酒運転や飲酒運転車両への同乗など私生活上の非行に及ぶ蓋然性が高いというべき事情を認識していたなど特段の事情があれば、直接、個別具体的な注意を与えるなど、より高度の管理監督義務を尽くすべきであったと解する余地もあるが、勤務態度に大きな問題はみられず、飲酒運転車両への同乗といった私生活上の非行に及ぶ蓋然性が高いというべき事情を認識していたとはいえないし、その認識をする契機があったともいえない。よって直接、個別具体的に飲酒運転の危険性等について注意を与えるなど具体的監督権限を行使すべきであったともいえない。
◆まとめ
上記の理由から監督不行き届きでの懲戒は無効となりました。病気休暇中であったこと、普段から注意喚起こと等を考慮しての判断だったと思います。
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