労働時間や休日の変更はどこまで許容されるのか!?③ ~北斗銀行事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
業務の都合等により労働時間や休日の変更を行った結果争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
会社は労働組合と合意して、完全週休2日制とし、就業規則の変更により平日及び特定日の労働時間を延長しました。これに対して社員らは新就業規則は無効のため、従前の就業規則で計算した時間外手当等の差額を求めて訴えを起こしました。
◆事件の争点
①就業時間の繰り下げ
②不利益の度合い
③就業規則変更の合理性
◆判決の判断
①新就業規則が終業時間を繰り下げたことは、労働時間が賃金と並んで最も重要な労働条件であり、たとえ法定の凱働時間の範囲内といえども、特別の事情がない限り、労働条件の不利益変更にあたると解すべきである。
②新就業規則が適用された結果、時間外手当不支給による収入の減少は、1カ月当たり平均1万8000円であり、社員らにとって、容易に回復しがたい著しい経済的な不利益にあたる。時間外手当に関する事項は、賃金あるいは退職金などと同様に、労働条件に関する事項に該当すると見るべきであり、不利益変更を肯定するためには、社員らに対してこのような不利益を受忍させるに足る高度の必要性に基づいた合理的な理由が要求されると解するのが相当である。
③経理的にみても、経営面からみても、会社には就業規則変更の必要性は認められないし、土曜休日が増加し、年間実労働時間が42時間10分短縮されることは、労働者の不利益を合理化するとはいえない。また、他の地方銀行の大多数が完全週休2日制に際し、1日の所定労働時間延長の措置をとっているが、労働時間を延長せずに週休2日制の完全実施に踏み切った金融機関の例もあり、特定日の労働時間延長が週休2日制の実施に必要な合理的理由であると認められない。
◆まとめ
会社にとっては厳しい判決となりました。休日が増え、労働時間が削減されても合理的と認められない。実質的に賃金が減ってしまったことが大きな要因の一つでしょう。
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