適正な懲戒処分ってどこまでの範囲内!?② ~懲戒処分取消等請求事件~
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懲戒処分の有効性(特に処分の量刑)を争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
上司や部下に対する暴行等で2カ月の停職処分(出勤停止)とされていた地方公務員が、被害者に対して自身に対する不利な発言等を行わないよう口封じ等を図りました。これに対して所属長はさらに停職6か月の処分を行いました。これに対して処分取り消しの訴えを起こしました。
◆事件の争点
①地方公務員の行動
②裁量権の範囲
◆判決の判断
①地方公務員による被害者Aへの働き掛けは、それまで上司及び部下に対する暴行及び暴言を繰り返していたことを背景として、同僚である被害者Aの弱みを指摘した上で、第1処分に係る調査に当たって被害者Aが地方公務員に不利益となる行動をとっていたならば何らかの報復があることを示唆することにより、被害者Aを不安に陥れ、又は困惑させるものと評価することができる。また、地方公務員による被害者Bへの働き掛けは、同人が部下であり暴行の被害者の立場にあったこと等を背景として、同人の弱みを指摘するなどした上で、第1処分に対する審査請求手続を地方公務員にとって有利に進めることを目的として面会を求め、これを断った被害者Bに対し、告訴をするなどの報復があることを示唆することにより、被害者Bを威迫するとともに不安に陥れ、又は困惑させるものと評価することができる。
②そうすると、上記各働き掛けは、いずれも、懲戒の制度の適正な運用を妨げ、審査請求手続の公正を害する行為というほかなく、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行に明らかに該当することはもとより、その非難の程度が相当に高いと評価することが不合理であるとはいえない。また、上記各働き掛けは、上司及び部下に対する暴行等を背景としたものとして、第1処分の対象となった非違行為と同質性があるということができる。加えて、上記各働き掛けが第1処分の停職期間中にされたものであり、地方公務員が上記非違行為について何ら反省していないことがうかがわれることにも照らせば、地方公務員が業務に復帰した後に、上記非違行為と同種の行為が反復される危険性があると評価することも不合理であるとはいえない。以上の事情を総合考慮すると、停職6月という第2処分の量定をした所属長の判断は、懲戒の種類についてはもとより、停職期間の長さについても社会観念上著しく妥当を欠くものであるとはいえず、懲戒権者に与えられた裁量権の範囲を逸脱し、又はこれを濫用したものということはできない。
◆まとめ
本件は、地方公務員の言動が再度の非違行為を想起させ、反省の色が伺えないことを理由に裁量権の範囲を逸脱せず、処分無効となりました。加害者に反抗的な態度を取ったり、反省が見られないと処分が認められるケースといえるでしょう。
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