退職勧奨の進め方は慎重にすすめるべき!? ~日立製作所退職勧奨事件~
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退職勧奨が思うように進まず争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
主任技師は復職後、思うような成績を上げられなかったため会社は研修の受講を指示しました。研修の内容は社外転身に活路を見出すものでしたが、主任技師は転職を考えておらず残留を前提としたキャリアプランを発表しました。その後会社は2度目の研修受講の指示しましたが、主任技師は違法な退職勧奨と主張し研修は中止となりました。主任技師は違法な退職勧奨を受けたとして不法行為に基づく損害賠償請求を起こしました。
◆事件の争点
①退職勧奨の存在
②退職勧奨の違法性
◆判決の判断
①本件の研修で参加者に示されたスライドには、参加者らが会社から役職に値しない成果しか挙げておらず、新たな業務ミッションに就くことは極めて難しく、転職に活路を見出してほしいと見られている旨が記載されており、その内容に照らし会社の主任技師ら参加者に対する当時の評価を記載したものにすぎず、主任技師ら参加者の名誉感情を不当に害するような社会通念上許容されない表現も用いられてはいない。研修は、退職勧奨をしたとみる余地はあるものの、会社やそのグループ会社に残ることを希望する参加者には、残留を前提とするキャリアプランの作成を求め、主任技師も会社に残留することを前提としたキャリアプラン等を作成していることにも照らすと、本件研修が主任技師ら参加者の自由な意思形成を妨げるほどの執拗さや態様で行われたとまでは認めることができない。
②退職を一旦は断った者に対し再考を求め、再度退職を促すことも、対象とされた労働者の自発的な退職意思の形成を促すものである場合には違法ということはできず、それが社会通念上相当とは認められないほどの執拗さで行われるなど、当該労働者に不当な心理的圧力を加え、その自由な退職意思の形成を妨げた場合に初めて違法となり、不法行為を構成することがあるというべきである。内容や態様に照らし、主任技師の自由な意思形成を妨げるようなものであったとは認め難い。部長は、主任技師に対し、フォローアップ研修の受講も命じているが、主任技師が退職勧奨に応じる意思がないことを明らかにしていたにもかかわらず行われたという点は問題となりうるものの、社会通念上相当と認められないほどの執拗さや態様で主任技師に退職を迫ったことを認めるに足りる証拠はなく、また、主任技師が不当な退職勧奨であると抗議するや、途中で中止され、それ以上、主任技師に退職を働きかけることをしていないことに照らすと、主任技師の自由な退職意思の形成を妨げるほどのものであったとまではいえず、違法であるとまでは認められない。
◆まとめ
退職勧奨としての側面はあったとされつつも、研修の内容や態様から違法性はないと判断されました。主任技師が実際に成果を上げられていなかったこともポイントの一つでしょう。
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