退職の意思表示っていつまで撤回可能!?⑨ ~東洋建材興業事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
退職の意思表示をしたのにも関わらず、その効力について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
社員は同僚に昇給及び賞与の支給があったことを理由に代表者に対して自らにも昇給と賞与の支給を求めました。代表者は昇給は行っていなく、賞与の支給もしていない旨を告げ社員の申し入れを断ったところ、社員はこれに憤慨して帰社後名刺をゴミ箱に捨てて退社しました。その後約2週間無断欠勤が続いたため会社は社員が自ら退職したものとして社員に貸与していた鍵と保険証の返還を求めました。社員はこれに応じ鍵と保険証を返還したので、退職手続きを行いました。これに対して社員は辞めるとは言っておらず、退職の意思表示はしていないとして合意解約を否定して、労働契約上の地位確認等を求めて訴えを起こしました。
◆事件の争点
①退職の意思表示
②退職の承諾
◆判決の判断
①社員は「辞める」とは言っていないと主張する。しかし本判決は関係証拠を総合した上で「辞める」と明言したと認定して、この発言は客観的には、明確な退職の意思表示であって、単に一時の感情から出た憤りの言葉にすぎないと解する余地はないとした。
②社員の退職の意思表示に対する当日の会社の態度としては、代表者が、同日の喫茶店でのやりとりの際、社員が当該意思表示をして席を立ったのに対して、自分も席を立って勘定の支払いに行き、社員を引き止める言動に出なかったこと、会社に先に帰社した社員が間もなく戻った代表者らの面前で、何枚かの名刺を掴んで屑籠に捨て、「こんな話にならない会社にはいられない。会社になんか来ない」といって退社した際に、これを引き止めたりしなかったことが認められただけであり、これらの事実だけでは、合意退職の意思表示に対する承諾の意思表示があったと解することはできない。しかしながら、会社は、無断欠勤から10日目には、社員に対し、文書で健康保険証と鍵の返還を求めているところ、右は社員の合意退職の意思表示に対する承諾の趣旨を包含するものと解されるから、これが社員に到達した時点で退職の合意が成立したものと認めるのが相当である。
◆まとめ
結果退職は有効となりましたが、合意退職がどの時点だったかが争点となりました。鍵や保険証の返還求める前に社員が撤回を行えば、雇用が継続していた可能性があるので退職有効としたい場合は会社としては直ちに承諾を行うべきでしょう。
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