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退職の意思表示っていつまで撤回可能!?⑦ ~ネスレジャパンホールディングス事件~

東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!

 

退職の意思表示をしたのにも関わらず、その効力について争った裁判例を紹介します。

 

 

【目次】

◆事実の概要

◆事件の争点

◆判決の判断

◆まとめ

 

 

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◆事実の概要

社員は上司に対して暴力行為を働き、告訴されました。この間会社は懲戒処分保留としていたところ不起訴処分が確定したため再度懲戒処分について検討を行いました。工場長は社員に対して処分検討中である旨を告げ、暗に自己都合退職を促したところ平成12年5月17日付で退職願を提出し、工場長は同日受理・承認を行いました。ところが翌日退職願の撤回を行い、強迫による取消、錯誤無効等を主張して、雇用契約上の権利の地位確認等を求めて訴えを起こしました。

 

◆事件の争点

 

①社員の心理状態

 

②強迫、錯誤等

 

 

 

◆判決の判断

①工場長が、懲戒解雇することが決定(あるいは内定)されたと告知した事実は認められない。社員は労働組合の役員として、長年にわたり会社との労使交渉に携わってきたのであり、工場長らから懲役処分が検討されている旨告知された程度で絶望的な心理的状態になるとは考えがたい。

 

 

②退職願の提出に先立ち、退職金額および賞与、大入袋、未消化の有給休暇、健康保険等の取扱いについて、さまざまな質問や要望を述べ、細かく確認していたこと、上司に自己都合により退職する旨挨拶した後に、本件退職願を自書し、拇印で良いと言われたのに駐車場に停めてあった車まで印鑑を取りにいって捺印したこと、私物を整理し、上司や同僚らに退職する旨の挨拶をした上で帰宅していること、翌日の午前10時頃には、早期退職優遇制度の適用の有無について照会していることなど、終始冷静に判断して行動しており、工場長らの発言に畏怖して正常な判断能力を失って退職願を提出するに至ったものとは到底認められない。

 

 

 

◆まとめ

本件は懲戒処分と自己都合退職の利害を比較衡量して、自らの判断に基づき退職の意思表示を行ったとされ意思表示は有効とされました。工場長が同日に処理していなければ撤回が成立する余地があったため退職承認の重要性が伺えるケースだと思います。

 

 

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