試用期間中にトラブル発生!? ~地位確認等請求事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
試用期間の是非を問うて争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
会社と社員は3か月の試用期間がある労働契約を締結しました。会社は試用期間経過後、本採用に適さないと判断し、試用期間1か月の延長の通知を行い、社員はこれに同意しました。その後も2回、試用期間の延長があり、その間会社からの退職勧奨に応じなかったため、会社は本採用を拒否しました。社員は試用期間延長の効力を争うとともに解雇無効の訴えを起こしました。
◆事件の争点
①試用期間延長は認められるか
②試用期間延長の要件は
③本件の是非
◆判決の判断
①試用期間を延長することは、労働者を不安定な地位に置くことになるから、根拠が必要と解すべきであるが、就業規則のほか労働者の同意も上記根拠に当たると解すべきであり、就業規則の最低基準効(労働契約法12条)に反しない限り、使用者が労働者の同意を得た上で試用期間を延長することは許される。
②解約権行使を検討すべき程度の問題があるとの判断に至ったものの労働者の利益のため更に調査を尽くして職務能力や適格性を見出すことができるかを見極める必要がある場合等のやむを得ない事情があると認められる場合に、そのような調査を尽くす目的から、労働者の同意を得た上で必要最小限度の期間を設定して試用期間を延長しても就業規則の最低基準効に反しないが、やむを得ない事情、調査を尽くす目的、必要最小限度の期間について認められない場合、労働者の同意を得たとしても就業規則の最低基準効に反し、延長は無効になると解すべきである。
③本件では、面談を実施するなどして問題点を具体的に指摘して改善を促す取組みをしなかったことなど職務能力や適格性を見極める取組みをしたと認めるに足りる証拠は存しない。試用期間を繰り返し延長した目的は、主として退職勧奨に応じさせることにあったと推認され、1回目の延長は、やむを得ない事情があったとも、調査を尽くす目的があったとも、認められず、就業規則の最低基準効に反することから無効であり、1回目の延長が有効であることを前提とする2回目、3回目の延長も無効であるから、本件雇用契約は、試用期間の当初の満了日の経過により、解約権留保のない労働契約に移行したと認められる。
◆まとめ
本件は1回目の延長自体が否定され、その後の延長も当然に無効となりました。本来は職務能力や適格性等を見極める期間としているにも関わらず、退職目的であったと推認されたことが大きなポイントだと思います。
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