裁判例から学ぶパワハラの考え方④ ~A保険会社上司事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回はメールによる叱咤激励によりパワハラを受けたとして訴えた裁判例をご紹介いたします。
ハラスメントの詳細は こちら!
【目次】
◆事件の概要
◆争点
◆判断基準
◆まとめ
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◆事件の概要
上司が部下に対して「意欲がない、やる気がないなら、会社を辞めるべきだと思います。会社にとっても損失そのものです」などと記載した内容のメールを所属する部署数十名を含めて送信しました。これに対してメール送信行為が名誉毀損またはパワーハラスメントで不法行為を構成するとして、慰謝料100万円と遅延損害金を求めて訴えを起こしました。
◆争点
①名誉棄損
②パワーハラスメントについて
◆判断基準
①職場の上司がエリア総合職で課長代理の地位にある社員に対し、その地位に見合った処理件数に到達するよう叱咤督促する趣旨であることがうかがえないわけではなく、その目的は是認することができるしかしながら、本件メール中には、「やる気がないなら、会社を辞めるべきだと思います。会社にとっても損失そのものです」という、退職勧告とも、会社にとって不必要な人間であるとも受け取られるおそれのある表現が盛り込まれており、これが本人のみならず同じ職場の従業員十数名にも送信されている。人の気持ちを逆撫でする侮辱的言辞と受け取られても仕方のない記載などの他の部分ともあいまって、名誉感情をいたずらに毀損するものであることは明らかであり、上記送信目的が正当であったとしても、その表現において許容限度を超え、著しく相当性を欠くものであって不法行為を構成するというべきである。
②本件メールが、その表現方法において、不適切であり、社員の名誉を毀損するものであったとしても、その目的は、社員の地位に見合った処理件数に到達するよう叱咤督促する趣旨であることがうかがえ、上司にパワーハラスメントの意図があったとまでは認められない。
◆まとめ
結果として、叱責のための過激な内容のメールを送ったこと自体は趣旨目的を鑑みパワハラには該当しないとされましたが、名誉棄損に該当するとして5万円の支払い命令が出ました。パワハラとまではならなくても、多数の人に叱咤激励の内容を共有する場合は名誉棄損に該当する場合があるため、正当な内容・理由でも叱咤激励の場合は1対1もしくは1対少数で行うのが良いでしょう。
いかがでしたでしょうか?パワハラが発生した際の処分について適正に手続きを行いたい、パワハラ加害者に対する指導方法が知りたい等パワハラ関係でお悩みの方は東京銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にご連絡ください!
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