裁判例から学ぶセクハラの考え方② ~ほけんの窓口グループ事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は社外で行われたセクハラ行為に対する懲戒処分及び調査中に命じた自宅待機中の賃金の支払いについて争った裁判例をご紹介いたします。
ハラスメントの詳細は こちら!
【目次】
◆事件の概要
◆判決の争点
◆判決の判断
◆まとめ
_________________________________________
◆事件の概要
会社は男性社員が、女性社員に対するセクシュアルハラスメント行為を理由として、懲戒解雇処分を行いました。。男性社員は当該行為をしておらず同処分は無効であると主張して、会社に対し、労働契約上の地位を有することの確認を求めるとともに、賃金の支払いを求めた事案です。
◆判決の争点
①セクハラ行為
②懲戒処分の有効性
③自宅待機中の賃金
◆判決の判断
①男性社員は女性社員に対して、マフラーで首を絞めて駐車場の奥まで引きずり、キスをするというセクハラ行為に及んだもので、その態様は粗暴かつ悪質で、刑事犯にも該当し得る行為である上、その後も深夜の公園や路上で女性社員に無理矢理キスをするという行為を行いセクハラである。(セクハラの事実認定)
②男性社員の行為が、就業規則の懲戒解雇事由である「ハラスメントと認められる行為を繰り返し、職場環境を著しく悪化させたとき」に該当することは明らかであるところ、上記態様の悪質性やセクハラ行為の回数のほか、男性社員が、会社から調査を受けても、セクハラ行為そのものをすべて否認し、女性社員に対する謝罪や反省の態度を一切示していなかったことにも鑑みれば、会社が男性社員を懲戒解雇処分としたことについては相当性があると認められる(懲戒解雇有効)。
③一般論として、自宅待機命令は会社が社員に対し、一方的に就業を禁止するものであるから、使用者は、民法536条2項により、その間の賃金支払義務を負う場合が多いものと解される。ただし、民法536条2項は任意規定であり、就業規則でこれと異なる規定を置くことを排除するものではないから、かかる規定を直ちに不合理で無効と解すべき理由はない。そして就業規則には、従業員の行為が懲戒事由に該当するおそれがある場合に、その調査や懲戒処分の決定に必要な期間に限り自宅待機命令をし、その間の賃金を平均賃金の6割とするものであって、就労を許容しないことに実質的な理由がある場合に限定されており、その期間も限定されていること、その金額も労働基準法26条の休業手当と同額であることに鑑みれば、同規定には合理性があると認められる(自宅待機命令による賃金4割カット有効)。
いかがでしたでしょうか?本件では懲戒解雇有効となりましたが、本人の反省がない点や行為の悪質性が大きなポイントと思います。また、自宅待機命令による賃金4割カットの合理性が認められたことは非常に意義ある判決だったと思います。※危険負担の考え方だと会社が一方的に労務の提供を拒否しているので10割負担。
セクハラでお困りの方は東京銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問い合わせください!
お問合せ先は こちら!
セクハラ、セクシャルハラスメント、配置転換、懲戒処分、社労士、社労士事務所、社会保険労務士法人、相談、東京、銀座、新橋