管理監督者はどこまで有効なのか!? ~休業補償給付支給決定取消事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は社員を管理監督者扱いした結果、訴えられた裁判例を紹介します。
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【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
株式会社で勤務していた社員は、業務上の事由により適用障害を発症したとして労働基準監督署に休業補償給付の請求を行いました。この支給決定に対して労働基準法41条2号の「監督若しくは管理の地位にある者」に該当せず、給付基礎日額の算定に誤りがあるとして、その取消しを求めた事案です。※本来就くはずの残業が加算されていないため給付日額が増える
◆事件の争点
①管理監督者とは
②管理監督者としての裁量
③管理監督者としての待遇
◆判決の判断
①労基法41条2号の管理監督者とは、労務管理について経営者と一体的な立場にある労働者をいい、具体的には、当該労働者が労働時間規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務や権限を担い、責任を負っているか否か、労働時間に関する裁量を有するか否か、賃金等の面において、上記のような管理監督者の在り方にふさわしい待遇がされているか否かという3点を中心に、労働実態等を含む諸事情を総合考慮して判断すべきである。そして、ここでいう経営者と一体的な立場とは、あくまで労務管理に関してであって、使用者の経営方針や経営上の決定に関与していることは必須ではなく、当該労働者が担当する組織の範囲において、経営者が有する労務管理の権限を経営者に代わって同権限を所掌、分掌している実態がある旨をいう趣旨であることに留意すべきであり、その際には、使用者の規模、全従業員数と当該労働者の部下従業員数、当該労働者の組織規定上の業務と担当していた実際の業務の内容、労務管理上与えられた権限とその行使の実態等の事情を考慮するとともに、所掌、分掌している実態があることの裏付けとして、労働時間管理の有無、程度と賃金等の待遇をも併せて考慮するのが相当である。
②社員は、経理部の部下に対する労務管理や人事考課につき何らの権限を持たず、経営者と一体となって労働時間規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない重要な職務や権限を担っていたと評価することは困難である。他の従業員と同様、就業規則による労働時間の規律に服し、出勤簿による勤怠管理を受け、労働時間や出退勤に関し、労基法による労働時間規制の対象外としても保護に欠けないといえるような裁量はなかったと評価するのが相当である。
③社員の給与月額(72万円)は本部長(94万円)に次ぐ高額であったものの、権限や裁量の広さに対応するものではなく、引抜き目的の上乗せであった月額18万円の住居手当を除外すれば、給与月額は54万円にとどまり、労基法による労働時間規制の対象外としても保護に欠けないといえる待遇と評価することは困難である。
◆まとめ
管理監督者は主に職務の権限、労働時間及び待遇の3点を中心に判断されることになりますが、本件ではすべてにおいて否認され、結果、管理監督者に該当しないという判断となりました。やはり管理監督者扱いのハードルは高いと言わざる得ないでしょう。
いかがでしたでしょうか?管理監督者を適用したいけど否認されないか不安、管理監督者の待遇をどのように設定すべきかわからない等管理監督者制度でお悩みの方はお気軽に東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問合せください
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