管理監督者はどこまで有効なのか!?② ~日産自動車事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は社員を管理監督者扱いした結果、訴えられた裁判例を紹介します。
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【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
管理職として働いていた課長が平成28年3月に亡くなりました。課長の配偶者で相続人である妻が会社に対して課長は労働基準法41条2号の管理監督者に該当しないとして未払いの時間外手当を請求しました。
◆事件の争点
①当該労働者が実質的に経営者と一体的な立場にあるといえるだけの重要な職務と責任、権限を付与されているか
②自己の裁量で労働時間を管理することが許容されているか
③給与等に照らし管理監督者としての地位や職責にふさわしい待遇がなされているか
◆判決の判断
①課長は、会議に出席するとともに、投資額及び収益率の提案を企画立案する立場にあったと認められる。しかしながら、同会議で実際に提案するのは、部長であって、課長が企画立案した提案も、部長が了承する必要があること、同会議で、課長がが発言することは、基本的に予定されていないことからすれば、同会議における経営意思の形成に直接的な影響力を行使しているのは、部長であって、課長は、部長の補佐にすぎないから、経営意思の形成に対する影響力は間接的である。
課長は、マーケティングプランを企画し、本部会議でそれを提案する立場にあったと認められ、地域・部門が限定的であるとはいえ、会社の経営方針を決定する重要な会議に参画する機会を与えられていたと評価できる。しかしながら、同会議で提案する前に、あらかじめ部長の承認を受ける必要があること、課長は部長とは異なり、担当車種が議題に上るときだけ同会議に出席することからすれば、課長は、部長の補佐にすぎず、経営意思の形成に対する影響力は間接的なものにとどまると評価すべきである。実質的に経営者側と一体的な立場にあるといえるだけの重要な職責及び権限を付与されていたとは認められない
②遅刻早退の控除もなく自己の労働時間について裁量がある
③課長の平成27年の年収は交通費を除き約1230万円であった。これは部下の年収よりも250万円ほど高く、ふさわしい待遇といえる
◆まとめ
本件は時間的裁量や待遇については認められたのにも関わらず、最終的に管理監督者性が否定されました。会社にとって非常に厳しい判断であり厳格過ぎる判断ではというのが正直なところです。大企業であったことも、厳しく判断された一因ではないかと考えます。
いかがでしたでしょうか?管理監督者を適用したいけど否認されないか不安、管理監督者の待遇をどのように設定すべきかわからない等管理監督者制度でお悩みの方はお気軽に東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問合せください
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