競業避止義務はどこまで有効となるか!? ~REI元従業員事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
退職又は解雇後の競業避止義務の有効性について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
システムエンジニアの業務していた派遣社員が退職後、退職時に合意した合意書の内容に抵触するとして会社は競業避止義務に違反あるいは自由競争の範囲内を逸脱した違法な競業を行ったとして訴えを起こしました。
◆事件の争点
①競業避止違反
②違法な競業行為
◆判決の判断
①本件合意書は、秘密保持に係る条項を遵守するために、競業避止義務を定めたものと合理的に解することができる。しかしながら、会社がシステム開発、システム運営その他に関する独自のノウハウを有するものとはいえないし、社員がそのようなノウハウの提供を受けたと認めるに足りる証拠もないのであって、会社において本件合意書が退職後の競業避止義務を定める目的・利益は明らかとはいえない。社員が会社において勤務すると、下請け会社の利益が減少し、又は会社が社員を介して利潤を得ていると疑われる不利益があると供述するが、利益・利潤を害する恐れはない。本件合意書の対象が会社の取引先のみならず、会社の客先の取引先と関係がある事業者までも含まれており、禁止する転職先等の範囲も極めて広範にわたるものといわざるを得ない。上記の範囲をもって転職等を禁止することは、社員の再就職を著しく妨げるものであるというべきである。手当、退職金その他退職後の競業禁止に対する代償措置は講じられておらず、本件合意書においても、代償措置については何ら規定もない。本件合意書に基づく合意は、公序良俗に反し、無効である。競業避止義務に違反したかどうかに関する会社の主張は、理由がない。
②社員は令和2年9月20日、別会社との業務委託契約を締結したが、その契約期間の始期は同年10月1日と定められており、在職中の会社の業務を何ら害するものではなく、会社が第3次下請けであるのに対し、別会社が第2次下請けであって、会社の受注する業務と競業するものでもないと認めることができるのであるから、当該業務委託契約を締結したことが自由競争の範囲を逸脱したものとはいい難い。会社を退職した後に認められる職業選択の自由を踏まえ、社員において収入を得て生活を維持する必要があることからすると、本件合意書を作成する前であり、退職後、間断なく他企業に就業したことが自由競争の範囲を逸脱する違法な競業行為に当たると解する余地はない。
◆まとめ
本件は会社に取って厳しい判決となりました。競業避止の範囲も広範囲とされ、代償措置がなく公序良俗に反するとされました。競業避止を成立させるにはハードルが高いと言えるでしょう。
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