競業避止義務はどこまで有効となるか!?⑨ ~ヤマガタ事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
退職又は解雇後の競業避止義務の有効性について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
支店長であった元社員は会社に退職届を提出して、競業他社に就職をしました。会社は競業避止を理由に退職金を支給しなかったため社員は退職金の請求を行いました。
◆事件の争点
①懲戒解雇
②競業避止違反
③退職金の請求
◆判決の判断
①解雇日である平成19年1月15日の到来前に、自己都合退職の意思表示によって雇用関係が消滅したことから、無効であるというほかない。
②営業マニュアルが「営業秘密」であるとはいえず、就業規則52条1項、2項に違反している事由があるということはできない。これに対し、競合他社への就職は就業規則52条3項に違反している事由があるということができる。
③社員は、相当額の売上を達成し、社員の努力は相当程度評価されるべきものであったと認められる。一方、元社員の件による不利益がさほど大きくないこと、会社が被った顧客の喪失は、全て競合他社の営業によるものとまではいいがたい。加えて、就業規則52条3項は、何らの代償措置もなく同業他社に対する2年間の就職を禁ずるものであり、労働者の職業選択の自由の不当な制限にならないよう合理的な制限が加えられてしかるべきであるところ、競合他社は現在、実質4名で構成される小規模な会社であり、売上高及び経常利益も会社に及ばないものである。したがって社員に就業規則52条3項違反の事実があり懲戒解雇相当事由という退職金不支給事由が形式的には存するけれども、社員の勤続の功を抹消又は減殺するほどの著しい背信性があるとまではいえないし、退職金の請求が権利の濫用であるということもできない。
◆まとめ
懲戒処分前に退職が成立したため、懲戒解雇は無効となり、功労を鑑みると退職金0円は認められない結果となりました。懲戒解雇を行う場合には解雇予告を支払っても即日行った方が良かったと言える事例でしょう。
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