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服務規律違反による解雇無効!? ~乙山商会事件(大阪地判平25・6・21)~

東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!

 

今回は服務規律違反により懲戒解雇を行った結果、訴えられた裁判例を紹介します。

 

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【目次】

◆事実の概要

◆事件の争点

◆判決の判断

◆まとめ

 

 

__________________________________________

 

 

◆事実の概要

社員は、会社が平成22年4月にA社を吸収合併する以前から、業務上使用するA社のパソコンに、私物である外付けのハードディスクドライブ(以下、HDDという)を接続して使用していました。平成24年1月頃、平成22年4月から平成23年12月までの会社の取引に関する商品販売先の社名、担当者名、連絡先、交渉経過のメモ、受注数量、単価などの情報が記録されたHDDを自宅に持ち帰りました。会社は平成24年1月17日、会社の就業規則所定の会社の業務上の機密及び会社の不利益となる事項を外に漏らさないこと(就業規則29条4項)、従業員は出社及び退社の場合において日常携帯品以外の品物を持ち込みまたは持ち出そうとするときは所属長の許可を受けなければならないこと(就業規則31条)に違反したとして、社員を懲戒解雇しました。そこで、社員は懲戒解雇が解雇権の濫用であり無効だとして、会社に対し雇用契約上の地位の確認、解雇後の賃金、違法・無効な懲戒解雇による慰謝料の支払いなどを求めて提訴しました。

 

◆事件の争点

 

①持ち帰った行為が就業規則違反か?

 

 

②懲戒解雇に該当するか?

 

 

③慰謝料請求について

 

 

◆判決の判断

①会社に無断で業務関連情報を私物の記録媒体に電磁的記録として記録し、社外に持ち出す行為は、その時点で、当該情報を外部に流出・頒布する危険性を著しく増大させる行為であり、就業規則29条4項にいう「外に漏らさないこと」に違反する行為と解すべきであると主張するが、懲戒解雇は、懲戒処分の中でも従業員の身分を奪う最も重い処分であるから、懲戒解雇事由の解釈については厳格な運用がなされるべきであり、拡大解釈や類推解釈は許されず、情報が外部に流出する危険性を生じさせただけで、情報を「外に漏らさないこと」という服務規律に違反したことと同視して懲戒解雇できるとのY社の主張は採用できない。※持ち出しただけでは懲戒解雇は重い

 

 

②仮に会社の主張を前提としても、就業規則44条7号は、懲戒解雇事由として「29条から37条までの規定に違反した場合であって、その事案が重篤なとき」と定めているところ、情報漏えいの事実を認めるに足りる証拠がない以上、服務規律違反の「事案が重篤なとき」に当たらないことは明らかであるから、本件懲戒解雇には理由がない。※懲戒解雇無効

 

 

③無効な懲戒解雇によって社員に生じた損害は、特段の事情がない限り、懲戒解雇が無効と判断され、解雇期間中の賃金が支払われれば回復されると解されるから、無効な懲戒解雇がなされたというだけで当然に不法行為が成立して、慰謝料請求権が発生するものではない。

 

 

◆まとめ

本件は吸収合併されたA社の社員が私物のHDDを持ち帰ったことが服務規律違反であり、会社は懲戒解雇としましたが、合併後もとA社の社員らには営業機密管理の研修等を行っていなかったこともあり、実際に情報漏洩した事実はないとされ懲戒解雇無効となりました。合併後、吸収された社員にもしっかりとした教育を行っていれば違う結果があったかもしれません。

 

いかがでしたでしょうか?服務規律を見直したい、時代・社風に合った服務規律を整えたい等をお考えの方はお気軽に東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問合せください

 

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