服務規律違反による解雇無効!?⑤ ~呉中央水産事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は服務規律違反により普通解雇を行った結果、訴えられた裁判例を紹介します。
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【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
会社は労働時間削減に伴い営業手当等の削減することを従業員に対して理解を求めたところ、ほとんどが理解を示したのにも関わらず、労働組合の執行委員長が組合の決議を経ることなく組合名の公開質問状を作成し周知しました。会社は事実関係を調査の上、組合活動と関係がなく個人的な活動であるとし会社の信用を失墜させる行為として普通解雇を行いました。これに対して、執行委員長は本件解雇が正当な組合活動を理由としてなされた不当労働行為であり、客観的に合理的な理由を欠き権利濫用である、と主張して、地位保全等の仮処分を求めました。
◆事件の争点
①不当労働行為に該当するか
②公開質問状作成行為の是非
③解雇の合理性
◆判決の判断
①本件解雇は組合執行委員長を差別して取り扱う意思のもとに行われたものではなく、執行委員長が個人的に会社の信用を失墜させ損害を与える目的で質問状の作成、配布を行ったことを理由になされたものであるから不当労働行為ではない。
②本件質問状の作成、配布につき非難に値する点があることは認められるが、しかし、客観的に見ると、質問状の内容はことさら事実を歪曲したものとまでは言えず、営業手当をカットする前に経営改善のため優先して解決すべき問題があり、その解決によって営業手当のカットを避けられるのではないかと問い掛けるものであると見ることもできるから、その内容を根拠にして、会社の信用失墜をもくろんで質問状を作成、配布したと見るべきではなく、しかも一部の組合員の同意を得ていることも併せ考えると、質問状の作成、配布は組合活動と関係ない個人的なものとまでは言えない。
③本件質問状によって会社が受けた不利益と本件解雇によって執行委員長の受ける不利益等を総合勘案すると、本件解雇は客観的、合理的理由を欠き、権利濫用に当たる。
◆まとめ
本件は解雇無効という結論に至りましたが、疑問が残るとされている裁判例です。まず、不当労働行為に該当しないというのは争いのない点と考えます。次に公開質問状作成配布の経緯ですが、裁判所の判断は個人的なものとまでは言えないとしています。しかし実態としては疑問の余地が残る判断といえるでしょう。
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