服務規律違反による解雇無効!?④ ~東谷山家事件(福岡地小倉支決平9・12・25)~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は服務規律違反により諭旨解雇を行った結果、訴えられた裁判例を紹介します。
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【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
社員は運送業を営む会社で正社員として働いていました。社員が頭髪を短くして派手な黄色に染めて出社したところ、会社は取引先に悪い印象を与えかねないと懸念し、3回に渡り面談を行い髪の色をもとに戻すよう指導したところ社員はこれを拒否しました。会社は社内の秩序が乱れると考え、髪を黒く染め始末書を提出するよう命じました。社員は少し茶色が残る程度に染め直しを行いましたが、会社はこれを認めず再度黒くするよう命じました。社員はこれ以上染める気はないと伝え始末書の提出も拒否したため、その場で諭旨解雇を通告しました。社員は解雇権のは解雇権の濫用に当たり無効であると主張して、地位保全および賃金仮払いの仮処分を申請しました。
◆事件の争点
①染め直しの命令行為
②命令の限界について
③命令の合理性
◆判決の判断
①一般に、企業は、企業内秩序を維持・確保するため、労働者の動静を把握する必要に迫られる場合のあることは当然であり、このような場合、企業としては労働者に必要な規制、指示、命令等を行うことが許されるというべきである。
②企業に与えられた秩序維持の権限は、自ずとその本質に伴う限界があると言わなければならない。特に、労働者の髪の色・かたち、容姿、服装などといった人の人格や自由に関する事柄について、企業が企業秩序の維持を名目に労働者の自由を制限しようとする場合、その制限行為は無制限に許されるものではなく、企業の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲内にとどまるものというべく具体的な制限行為の内容は、制限の必要性、合理性、手段方法としての相当性を欠くことのないよう特段の配慮が要請されるものと解するのが相当である。
③社員の頭髪の色に難色を示し、元に戻すように要求したり、始末書の提出を求めた会社側の態度は、社内秩序の維持を図るためとはいえ、労働者の人格や自由への制限措置について、その合理性、相当性に関する検討を加えた上でなされたものとはとうてい認め難く、社員に対する指導が「企業の円滑な運営上必要かつ合理的な範囲内」の制限行為にとどまるものと解することはできない。
◆まとめ
本件は実際に取引先の苦情もなく、トラック運転手であるため日常的に顧客と接する立場にないことから服務規律に違反するとは言えないとされました。就業規則で頭髪等の制限についてある程度規定をしていれば違う結果があったかもしれません。それでも諭旨解雇は重すぎると考えます。
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