服務規律違反による解雇有効!?③ ~K工業技術専門学校事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は服務規律違反により懲戒解雇を行った結果、訴えられた裁判例を紹介します。
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【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
私立学校の教師が勤務時間中に学校のPC及び業務用のメールアドレスを使用して、出会い系サイトに投稿してメールの送受信を行っていました。これに対して学校側は懲戒解雇行ったところ、一審では懲戒解雇無効とされました。これに対して学校側が控訴した事件です。
◆事件の争点
①教師の職責
②職務専念義務
③学校に対する名誉棄損
◆判決の判断
①当該教師は、専門学校の教職員として職業上高い倫理観を要求され、控訴人学校における校長に次ぐ管理職として職場での規律維持等について重い責任を負っていた。
②平成10年9月21日から平成15年9月4日までの間になされた出会い系サイトに関連する送受信分は各800件以上という膨大な件数に達し、その約半数程度が勤務時間内に送受信され、平成15年6月に限ってみても、送受信メールは各100件ずつあり、そのほとんどがある女性との私的なメールであり、業務に関連するものはほとんどなく、連日のように複数回メールを送信し、その多くが勤務時間内に行われていたのであって、かかる行為は職責の遂行に専念すべき義務等に著しく反し、その程度も相当に重いものというほかない。
③当該教師は、その発信元が控訴人学校のPCであることを推知し得る業務用アドレスを使い、しかも、複数のメール相手から業務用PCを使用することの危惧を示されたにもかかわらず、露骨に性的関係を求める内容のメールを送信し、しかも削除されることなく、第三者も閲覧可能な状態にあったのであり、かかる行為は著しく軽率かつ不謹慎であるとともに、控訴人学校の品位、体面及び名誉信用を傷つけるものというべきである。さらに当該教師は、ある女性とはメールのやり取りにとどまらず、私用メールで出張の際に会うための打合せをし、実際に食事を共にするなどしており、かかる行為も控訴人学校における職責を怠り、その名誉を傷つけるものとして軽視できない。以上のような当該教師の非違行為の程度及び被控訴人が教育者たる立場にあったことからすれば、本件懲戒解雇はやむを得ないものであって、不当に苛酷なものということもできない。
◆まとめ
本件は校長に次ぐ、管理職としての職責、非違行為の内容、性的なやりとりが第三者から閲覧可能であったこと等を要因に懲戒解雇有効とされました。しかし、通常私的メールの利用のみでは解雇無効となるケースが多く、本ケースのようにメールの私的利用のみで懲戒解雇とすることは難しいと言えるでしょう。
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