年次有給休暇の時季変更権はどこまで有効か? ~東海旅客鉄道事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は年次有給休暇の取得に対して時季変更権を行使した裁判例・判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
鉄道会社で勤務する社員が年次有給休暇の申請を行ったところ、会社は就労を命じました。社員はこれに対して時季変更権は違法として慰謝料請求を行いました。
◆事件の争点
①事業の正常な運営を妨げるかの判断
②代替要員確保義務
◆判決の判断
①労基法39条5項が年休の時季の決定を第一次的に労働者の意思にかからしめていること、同規定の文理に照らせば、会社による時季変更権の行使は、他の時季に年休を与える可能性が存在していることが前提と解されることに照らせば、会社が恒常的な要員不足状態に陥っており、常時、代替要員の確保が困難な状況にある場合には、たとえ社員が年休を取得することにより事業の運営に支障が生じるとしても、法39条5項ただし書にいう「事業の正常な運営を妨げる場合」に当たらず、時季変更権の行使は許されないものと解するのが相当である。そうすると、会社は、時季変更権を行使するに当たり、恒常的な要員不足の状態にあり、常時、代替要員の確保が困難である場合には、そのまま時季変更権を行使することを控える義務を負っているものと解することが相当である。
②本件期間において恒常的に要員不足の状態にあったか否かは、社員を含む乗務員の年休の取得のために講じられていた会社の施策等も考慮しながら、各年度において社員が平均20日の年休を取得できる程度の要員が会社に確保ないし配置されていたといえるか否かといった観点から検討するのが相当である。会社は、本件期間において、社員に対し、恒常的な要員不足の状態のまま時季変更権を行使し、時季変更権を合理的期間内に行使せず…、また、年休の届出をした前月20日から各日の5日前に時季変更権が行使されるか否かが確定するまでの期間、不安定な立場に置かれ、以上のような会社の債務不履行の内容及び社員の精神的苦痛の実情に照らせば、会社は、慰謝料の支払義務を負う。
◆まとめ
人手不足に対しても、事業の正常な運営を妨げる場合には該当され、時季変更権が違法とされました。時季変更権のハードルの高さが伺えますね。
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