就業規則の効力ってどこまで有効なの!?④ ~関西定温運輸事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
就業規則の有効性について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
会社が昭和59年に作成した就業規則には定年を50歳とする規定があり、その後平成7年に作成された新しい就業規則には定年を55歳とする規定に変更となりました。
55歳に達した社員は会社と嘱託社員契約を締結しましたが、新旧の就業規則はどちらも周知しておらず無効として訴えを起こしました。
◆事件の争点
①就業規則作成の手続き
②就業規則の効力
◆判決の判断
①旧規則は、従来被告においては労働基準監督署に届出た就業規則が存在しなかったため、昭和59年ころ、会社代表者が別会社からの出向社員と共同で作成し、届出たものであるが、その作成については全く従業員に知らされなかったこと、届出に際し添付された従業員代表の同意書も、会社代表者において作成したものであること、実際にも会社の従業員であった当該従業員代表者は、昭和59年9月18日満50歳、平成元年9月18日満55歳になったにもかからわず、何ら定年退職の取扱いを受けなかったことが認められ、これらによれば、旧規則は、従業員に対して全く周知がされなかったものであり、かつ、実際にもそこに定められた定年制を前提とする運用は行われていなかったというべきであるから、旧規則による定年の定めはその効力を認めることができない。したがって、会社には、平成7年の新規則制定まで定年の定めはなかったというべきである。
②なお、労基法所定の周知方法が採られていないからといって、直ちに就業規則の効力を否定すべきではないが、使用者において内部的に作成し、従業員に対し全く周知されていない就業規則は、労働契約関係を規律する前提条件を全く欠くというべきであるから、その内容がその後の労使関係において反復継続して実施されるなどの特段の事情がない限り、効力を有しないというべきであり、右特段の事情があったと認めるに足りる証拠もない。
◆まとめ
就業規則の周知行為がいかに重要かが理解できる裁判例だと思います。内容をしっかりと整えた就業規則は周知することでトラブルを回避できるケースがあります。
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