就業規則の効力ってどこまで有効なの!?② ~日本コンベンションサービス事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
就業規則の有効性について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
雇用期間中に同種の新法人を設立し、他の従業員を勧誘した社員が懲戒解雇となりました。この際に周知していた退職金規程には懲戒解雇された場合に退職金を支給しない旨の規定がなかったことから社員は退職金の支給を求めて提訴しました。※懲戒解雇後に不支給条項を追加した就業規則を届出
◆事件の争点
①不支給規程の効力
②競業避止義務
◆判決の判断
①新規程による退職金不支給の定めは、既得権である退職予定者の退職金請求権を奪うものとして、その効力がない。すなわち、使用者が就業規則によって労働条件を一方的に変更することは原則として許されない。ただし、その就業規則の変更が法定の手続きを経ており、かつその内容が合理的な場合に限り、個々の労働者の同意がなくてもこれを適用できる。そして、本件においては、前認定の各事実及び弁論の全趣旨を総合すると、使用者である会社は、既に退職願を出している社員に対し、報復的な意図の下に、密かに右懲戒解雇による退職金不支給規定を急遽新設する就業規則の変更を行い退職金の支給義務を免れようとしたものであると認められる。そうすると、これが社員の本件退職に関して内容的に合理的な就業規則の変更にあたるとは到底いえない。したがって、新規程は社員との関係でその効力がない。
②就業規則及び誓約保証書に基づく競業避止義務については、雇用契約終了後もなお効力を有するとは認められない。もっとも、社員が新会社の設立に関与した事実が認められる。それは社員が退職の意思を表示した後のわずかな期間のことであり、これをもって懲戒解雇により社員の永年功績を失わせるほどの重大な背信行為ということはできない。
◆まとめ
新設した退職金不支給規程の適用は周知の事実なく無効となりました。ことが起こった後に慌てて対応しても認めないということですね。
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