安全配慮義務ってどこまで負うのか?⑦ ~JR西日本受動喫煙事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は安全配慮義務について争った裁判例・判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
車掌等の職務に従事する社員が、分煙対策が不十分であり重大な疾病に罹患する危険にさらされているとして施設内の禁煙を求めるとともに精神的苦痛に対する慰謝料を請求しました。
◆事件の争点
①分煙措置の義務
②損害賠償
◆判決の判断
①社員は、受動喫煙により何らかの疾病に罹患するなど現実に医師の治療を要するほど健康が害されたとまでは認められないこと、本件各施設は、その性質上、乗務員等が常時そこで業務を処理することが義務付けられている場所とはいい難いこと、本件各施設に滞留可能な時間の上限は社員については1か月4時間程度、社員2については1か月16時間程度にとどまる上、社員がその間に終始、本件各施設に滞留することを義務付けられているわけではないし、実際に滞留している時間に常に受動喫煙にさらされているわけでもないこと、我が国の現時点の喫煙対策において、事業場内のすべての場所において禁煙措置又は完全分煙措置までが義務付けられているわけではないことなどを考慮すれば、本件各施設を禁煙室とすべき作為義務、すなわち、社員の受動喫煙を完全に防止するに足りる分煙措置を講じるべき作為義務を負っているということはできない。
②会社は、喫煙対策を講じていなかったのであるから、社員が一定の受動喫煙を余儀なくされたことは否定することができず、会社の喫煙対策が適切なものであったとはいい難い。しかし、社員が平成14年7月ころまでの間に本件各施設においてどの程度受動喫煙に曝露されていたかを客観的に裏付ける証拠は存しないこと、本件各施設は乗務員等が常時そこで業務を処理することが義務付けられている場所とはいい難い上、健康増進法により受動喫煙防止に必要な措置を講じる努力義務が法定されるなどしたのは、おおむね平成14年以降であることを考慮すれば、会社が平成14年7月まで分煙措置を講じていなかったことが社員との関係で直ちに違法となると評価することはできない。
◆まとめ
本件は事件当時は会社が分煙措置を講ずる義務までは追わないとされました。禁煙化が進んでいる令和の時代では違った判決となりそうですね。
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