勤務成績不良による処分はどこまで有効か!?⑦ ~東京海上火災保険事件平成12.7.28~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
勤務成績不良により普通解雇又は懲戒処分を受けたものが、その効力について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
総合職として採用された社員は平成4年から平成10年の間に長期欠勤を繰り返しており、会社は就業規則に規定する解雇事由「労働能率が甚だしく低く、会社の事務能力上支障があると認められたとき」に該当するとして普通解雇を行いました。社員はこれに対して解雇無効を主張して訴えを起こしました。
◆事件の争点
①解雇事由に該当するか
②労働能力
◆判決の判断
①社員は平成4年11月以降、4度の長期欠勤を含め傷病欠勤が非常に多く、その総日数は解雇まで5年5カ月のうち約2年4カ月に及び、長期欠勤明けの出勤にも消極的な姿勢を示したこと、出勤しても遅刻が非常に多く、離席も多かったこと、出勤時の勤務実績も劣悪で、担当業務を指示どおり遂行することができず、他の従業員が肩代わりをしたり、ときには後始末のために少なからぬ時間を割かなければならず、業務に支障を与えたことが認められる。これらによれば、社員は、労働能率が甚だしく低く、事務能力上支障を生じさせていた。
②社員は、出勤状況に関し、労働者が会社の許可を得て病気欠勤をし、あるいは有給休暇を取得した時期は労働能率の判断から除外されなければならないと主張する。しかし、そもそも会社は有給休暇の取得を労働能率が低いことの根拠としていない。また、「能率」を「一定の時間にできあがる仕事の割合」と定義づけるとしても、「一定の時間」から傷病欠勤の期間を除外する理由はない。むしろ、社員・会社間の法律関係が雇用契約関係であることからすれば、社員の主張は採用しえない。すなわち、雇用契約においては、労務の提供が労働者の本質的な債務であり、まして会社は、社員を総合職の従業員として期限を定めることなく、雇用したのであるから、会社としては、ときには傷病等で欠勤することがあるにせよ、社員が長期にわたりコンスタントに労務を提供することを期待し、社員もそのような前提で雇用されたと解されるところ、このような雇用契約関係下で、傷病欠勤が多く、労務を長期にわたって提供できないことを、従業員として適格性判断の材料にできないというのは不合理であるからである。この理は、個別の傷病の際に会社が欠勤を許可した事実の有無により、左右されるものではない。そして、平成3年6月以降解雇までの約6年10カ月の期間に社員ができた仕事(業務)が前記のようなものに過ぎなかったという観点からみれば、有給休暇を取得した期間を除外したとしても、社員の労働能力は著しく低い。
◆まとめ
勤怠成績不良の社員の雇用維持により会社の適正な秩序維持が保たれないとの理由から解雇有効となりました。欠勤率が40%を超えていたことは大きなポイントでしょう。
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