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労働時間や休日の変更はどこまで許容されるのか!?② ~函館信用金庫事件~

東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!

 

業務の都合等により労働時間や休日の変更を行った結果争った裁判例を紹介します。

 

 

【目次】

◆事実の概要

◆事件の争点

◆判決の判断

◆まとめ

 

 

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◆事実の概要

会社は週休2日制の導入に伴い、1日の所定労働時間を25分延長して土曜日は休日とする変更を行い、労働組合と団体交渉を行いました。労働組合とは妥結しなかったため会社を労働組合の合意を得ず、就業規則の改定を行いました。社員らは不利益変更に該当するとし、従来の午後17時以降について行われた時間外手当との差額を未払い賃金として請求しました。

 

 

◆事件の争点

 

①所定労働時間の延長について

 

②変更の必要性

 

③変更の手続き

 

 

 

◆判決の判断

①社員らにとっては、平日の所定労働時間が25分間延長されることになったのであるから、本件就業規則変更が、社員らの労働条件を不利益に変更する部分を含むことは明らかである。そこで、まず、変更による実質的な不利益の程度について検討すると、25分間の労働時間の延長は、それだけをみれば、不利益は小さなものとはいえない。しかしながら、本件変更前の社員らの所定労働時間は、第三土曜日を休日扱いとしていた実際の運用を前提に計算しても、第一、第四及び第五週が40時間、第二及び第三週が35時間50分であって、年間を通してみれば、変更の前後で所定労働時間に大きな差がないということができる。さらに、本件では、完全週休2日制の実施が、本件就業規則変更に関連する労働条件の基本的改善点であり、労働から完全に解放される休日の日数が増加することは、労働者にとって大きな利益である。また、終業時刻が、午後5時20分とされた本件就業規則変更後においても変更前と同一の時間外勤務がされることを前提とする原審認定の時間外手当の減少は合理的根拠を欠く。したがって、全体的にみれば、社員らが、本件就業規則変更により被る実質的不利益は、必ずしも大きいものではない。

 

②変更の必要性について検討すると、金融機関における週休2日制導入に関する政府の強い方針からすると、会社にとって、完全週休2日制の実施は、早晩避けて通ることができないものであった。そして、週休2日制の実施に当たり、平日の労働時間を変更せずに土曜日をすべて休日にすれば、一般論として、提供される労働量の総量の減少が考えられ、また、営業活動の縮小やサービスの低下に伴う収益減、平日における時間外勤務の増加が生ずることは当然である。そこで経営上は、賃金コストを変更しない限り、土曜日の労働時間の分を他の日の労働時間の延長によって賄うとの措置を採ることは通常考えられるところであり、特に、既に年間所定労働時間が同業者の平均よりも短くなっていた会社のような企業にとっては、その必要性が大きい。加えて、会社は、本件就業規則変更の当時、相対的な経営効率が著しく劣位にあり、人件費の抑制に努めていたというのであるから、他の金融機関と競争していくためにも、変更の必要性が高いということができる。さらに、変更後の1日7時間35分、週37時間55分という所定労働時間は、当時の我国の水準としては必ずしも長時間ではなく、その内容に社会的な相当性がある。

 

③本件就業規則変更により社員らに生ずる不利益は、これを全体的、実質的にみた場合に必ずしも大きいものということはできず、他方、会社としては、完全週休2日制の実施に伴い平日の労働時間を画一的に延長する必要性があり、変更後の内容も相当性があるということができるので、労働組合がこれに強く反対し、協議が十分なものであったとはいい難いこと等を勘案してもなお、本件就業規則変更は、右不利益を社員らに法的に受認させることもやむを得ない程度の必要性のある合理的内容のものである。

 

 

 

 

◆まとめ

1審では会社勝訴、2審では社員ら勝訴と二転三転しましたが、最終的に就業規則の変更は合理性があるという結論に至りました。休日を増やす際には参考になるケースだったと思います。

 

 

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