休職による自然退職が無効!?③ ~エム・シー・アンド・ピー事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は会社が休職期間満了による自然退職で訴えられたケース(エム・シー・アンド・ピー事件)をご紹介いたします。
休職の詳細は こちら!
【目次】
◆事件の概要
◆判決の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事件の概要
女性社員は平成21年8月からうつ病となり私傷病休職となりました。平成22年3月1日に職場復帰を果たし、その際勤務時間は1日6時間、業務内容はアシスタント、賃金は従前の75%という労働条件の変更に応じました。その後会社は女性社員が仕事をこなせていないことから平成23年8月22日以降8月30日までに5回に渡る退職勧奨を行いましたが女性社員はこれに応じませんでした。平成23年8月31日主治医の診療を受けたところ、うつ病により休養加療が必要と診断され平成23年9月1日から休職扱いとなり、その後就業規則規定の3カ月が経過したため休職期間満了による退職となりました。これに対して女性社員は①退職強要により精神的苦痛を被ったとして不法行為に基づく慰謝料請求②休職期間満了による退職扱いが無効であるとして、労働契約上の地位確認と退職扱い後の賃金請求③未払い残業代の支払いを請求しました。
◆判決の争点
①退職勧奨について不法行為が成立するか
②退職扱いの効力および賃金請求権
③未払い残業代について
◆判決の判断
①退職勧奨については、合計5回の面談が行われ、第2回面談では、総務部長は、退職勧奨に同意しない場合は解雇である、通常の業務に支障をきたしているという解雇事由に該当すると述べ、また女性社員が、休職という手段はなく、自己都合退職か解雇かの2つなのかと尋ねたところ、基本はそうなると述べる等、解雇する可能性を示唆するなどして退職を求めていること、第2回面談及び第3回面談で、女性社員は退職勧奨には応じないとしているにもかかわらず、繰り返し勧奨を行っていること、業務量を調整してもらえれば働ける旨述べたにもかかわらずそれに応じなかったこと、第2回面談は約1時間及び第3回面談は約2時間と長時間に及んでいることなどの諸事情を総合的考慮すると、退職勧奨を行った理由が女性社員の体調悪化に起因するものであること、第5回面談で会社代表者が退職勧奨はするが解雇はしないとしたことなどを勘案しても、本件退職勧奨は、許容される限度を逸脱し、労働者の自由な意思決定を困難にするものであり、女性社員の退職に関する自己決定権を侵害する違法なものと認めるのが相当である。
②退職勧奨は、退職の意思のないことを表明しているにもかかわらず、執拗に行ったもので、強い心理的負荷となる出来事があったものといえ、これにより女性社員のうつ病は自然経過を超えて悪化したのであるから、精神障害の悪化について業務起因性が認められる。そうすると会社は、原告を休職期間の満了により退職したとすることはできない。女性の就労不能は会社の責めに帰すべき事由によるものであり、女性社員は、民法536条2項により賃金請求権を失わない。
③女性社員の復職後の時間外労働について、会社は女性社員が任意にリハビリ・身体慣らしを行った時間に過ぎないと主張するが、女性社員が行う業務は徐々に休職前と同様の業務になっていったこと、チームリーダーが業務の具体的な割り振りを行い業務を行っていたこと等からすると、業務命令があったものといえる。
◆まとめ
本件は実際に解雇を行ったわけではないのにもかかわらず、退職勧奨が違法なものとして休職期間満了が無効となりました。元々私傷病であったのにもかかわらず退職強要により症状が悪化したため業務起因性があると認定を行っていますがいささか荒っぽい印象を受けます。ただし、退職勧奨の方法自体は問題ありと思える内容のため退職勧奨を行う場合は慎重な対応が必要と考えるべきでしょう。
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