休職による自然退職が有効!?⑥ ~伊藤忠商事事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
今回は会社が休職期間満了による自然退職で訴えられたケース(伊藤忠商事事件)をご紹介いたします。
休職の詳細は こちら!
【目次】
◆事件の概要
◆判決の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事件の概要
社員は総合職とされ勤務していたところ、平成16年秋頃から体調を崩し平成17年冬頃に双極性障害(躁状態とうつ状態の病相を繰り返す精神疾患)に罹患していると診断されました。社員は会社から、平成19年4月24日以降の休職を命じられ、会社の就業規則による休職期間満了日は平成22年1月24日(休職期間は2年9カ月)でした。社員は休職期間中、会社に対し復職を申し入れ、会社はこれを受けて、トライアル出社を開始することとしましたが、健康管理委員会の審議結果復職不可と判断し、休職期間満了日に退職としました。これに対し社員は雇用契約の地位確認を求めて訴えを起こしました。
◆判決の争点
①休職規定の内容
②復職可能な状態であったか
③配置転換や他業種転換等の義務
◆判決の判断
①会社の就業規則によれば、休職開始日における勤続が10年以上の従業員の休職期間は2年9カ月間とされ、休職期間中に休職事由が消滅した場合には、復職が命じられると規定されているところ、就業規則の規定は、業務外の傷病による休職期間満了時の雇用契約の終了事由を規定したものと解するのが相当である。※問題なし
②社員は、会社の総合職として雇用され復職可能性を検討すべき職種は、会社の総合職ということになる。総合商社である会社の総合職の業務は、社員がが休業開始前に従事していた営業職においては、社内外の関係者との連携・協力が不可欠であるから、これを円滑に実行することができる程度の精神状態にあることが最低限必要とされることが認められる。また、営業職以外の管理系業務においても、社内外の関係者との連携・協力が必要であることは営業職と同様であるから、いずれの職種にしても、業務遂行には、対人折衝等の複雑な調整等にも堪え得る程度の精神状態が最低限必要とされる。発病した双極性障害の特質及び治療の困難さからは、治療を継続しての復職はもちろんのこと、社会復帰でさえも大きな困難を伴うことが認められる。
③社員が他職種において就労できる現実的可能性の立証の有無について、社員は、会社に総合職として雇用されたものであるし、休職期間中、一貫して総合職としての復職を希望していたものと認められるから、ここにいう「他職種」とは、会社の総合職の中で、社員が休業前に従事していた「生活産業カンパニー木材第二営業職」以外の職種を指すものと解すべきところ、会社の総合職としての業務は、営業職、管理系業務のいずれであっても、対人折衝等の複雑な調整等にも堪え得る程度の精神状態が最低限必要とされることに変わりがない。社員が、休職期間満了までにいまだ治癒・寛解には至っておらず、不安定な精神状態にあったと認められる中、休職期間満了までに、会社の総合職としての複雑な業務の遂行に堪え得る程度の精神状態にまで回復していたとは、およそ認めるに足りないといわざるを得ないから、社員が会社の総合職としての「他職種」において就労できる現実的可能性についても、立証が尽くされていない。
◆まとめ
本件は原告が復職可能である立証が不十分であったため期間満了退職が有効となりました。双極性障害という病気の性質も相まって円滑な業務遂行が難しいと判断されたのでしょう。
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