事業場外みなし労働時間制の適用ってどうなの? ~セルトリオンヘルスケアジャパン事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
最近最高裁でも判決があった事業場がみなし労働時間制の有効性について争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
医療情報担当者として勤務していた社員の業務形態は営業先である医療機関を訪問して業務を行う外回り業務であり、基本的な勤務形態は自宅から直接営業先を訪問し、その後直帰するというものでした。会社は平成30年に勤怠システムを導入することでスマートフォンからの打刻が可能となり、位置情報も把握できるようにしました。社員は令和2年に会社に対して過去2年間の未払い賃金を請求するとともに労働時間に関する資料を請求しました。その後訴えを起こしました。
◆事件の争点
①事業場外みなし労働時間制の適用の有無
②時間外労働等の有無
◆判決の判断
①本件システムの導入後は、営業社員について、一律に事業場外労働のみなし制の適用を受けるものとすることなく、始業時刻から終業時刻までの間に行った業務の内容や休憩時間を管理することができるよう、日報の提出を求めたり、週報の様式を改定したりすることが可能であり、仮に、営業社員が打刻した始業時刻及び終業時刻の正確性やその間の労働実態などに疑問があるときには、貸与したスマートフォンを用いて、業務の遂行状況について、随時、上司に報告させたり上司から確認することも可能であったと考えられ労働時間を算定し難いときに当たるとはいえない。
②事業場外労働みなし制が適用されるとしても、深夜業や休日に関する労基法の規定の適用は排除されないが、平成30年11月までに、社員が、深夜時間や法定休日に労働に従事したことを認めるに足りる証拠はない。平成30年12月から令和2年2月までの各日、社員が手入力で出退勤時刻を入力した日については、当該出退勤時刻が社員の始業時刻ないし終業時刻であるとは直ちに認め難い。また、社員は、大半の日において、本件システム上の出勤の打刻を自宅で行い、退勤の打刻を自宅に到着した時点ないし到着した以降の時点で行っていたことが認められる。社員による出勤の打刻時刻から退勤の打刻時刻までの間には、労働時間に該当しない時間が多分に含まれているといえる。週報の内容や、社員が在職中に残業に関する申請をしたことがないことなどから、社員が従事した業務の実態が長時間の時間外労働を要するものであったとは考え難い。
◆まとめ
1審では事業場外みなし労働時間制が認められて時間外労働はないとされましたが、控訴審である本件は未払い賃金の請求は認められなかったものの、事業場外みなし労働時間制自体は否定されました。DX化の昨今、事業場外みなし労働時間制の適用は難しいと言えるでしょう。
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