上司は部下の監督責任をどこまで負うのか!?④ ~関西フェルトファブリック事件~
東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!
部下の監督責任を問うて懲戒処分を行った結果争った裁判例を紹介します。
【目次】
◆事実の概要
◆事件の争点
◆判決の判断
◆まとめ
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◆事実の概要
会社の経理担当者が横領を行っていました。上司であった営業所長に対して監督者としての義務を怠り、経理担当者の横領行為を助長し、会社に多額の損害を負わせたとして懲戒解雇を行いました。これに対して営業所長は横領行為は知らないし、監督責任について懈怠義務はないと主張して訴えを起こしました。
◆事件の争点
①横領を知っていたか
②監督責任
◆判決の判断
①営業所長は経理担当者が横領行為を行っていたことを知っていたと断定することはできないが、健全な良識を働かせれば知り得る状況にあり、日計表と預金残高を照合すれば横領行為を容易に発見することができるものであるから、簡単に横領行為を阻止できていたこと、営業所長が経理担当者に対し飲食代を支払わせていることがなければ、横領金額も増加することもなかったものであることが認められる。したがって、就業規則に規定する重大な過失により会社に損害を負わしたものであることが認められる
②営業所長は、経理担当者と飲食を共にし親密な関係にあり、競馬に通っていることやパチンコにも熱心であったことや、家族関係などプライベートな事柄に関してもかなり知っていたものであると推測できる。また、営業所長は、残業の際の飲食代金についても交際費等で支払うことができるにもかかわらず、経理担当者がそのように処理することが無かったことについて何ら問いただすこともなく放置し経理担当者の本件横領行為が発覚した後に営業所長が経理担当者に対し右処理に要した費用を送金するなどの行為に及んでいること、他方で、営業所長はわずかな注意を払って帳簿等を確認さえすれば本件横領行為を発見することができたものである。したがって、営業所長は本件横領行為に関する監督につき重大な過失があったものであるといわなければならない
◆まとめ
営業所長の横領行為について知っていたかどうかの断定まではされなかったものの、十分に知り得たと判断され、また経理担当者がギャンブル好きであることを知っていたこと等を鑑み義務懈怠と判断され懲戒解雇有効となりました。
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