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賃金5原則って意外と厳しい!?② ~ビジネスパートナー事件~

東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!

 

労働基準法24条の賃金支払い五原則について争った裁判例を紹介します。

 

 

【目次】

◆事実の概要

◆事件の争点

◆判決の判断

◆まとめ

 

 

__________________________________________

 

 

◆事実の概要

総合職として勤務していた社員が、両親の世話を理由に転勤を拒否しました。これに対して会社は地域限定社員との賃金差額の返還を求めて訴えを起こしました。

 

 

◆事件の争点

 

①賃金規程

 

 

②規程の有効性

 

 

③規程の合理性

 

 

◆判決の判断

①正社員の給与は、職群、職格、職級ごとに定めるとあり、職群の区分について、(1)グローバル総合職、(2)総合職、(3)地域限定総合職等がある。転勤可能者を確保する趣旨から、総合職と地域限定総合職との間に月額2万円の賃金差を設けたうえ、(グローバル)総合職の正社員が会社が命じる転勤を拒んだ場合は、着任日が到来しているかどうかにかかわらず、半年遡って差額を返還し、翌月1日より新たな職群に変更するとしている。職群に変更が必要になった場合は、所定の手続きをもって1週間以内に申請する必要があった。

 

 

②本件規定は、総合職として賃金の全額が支払われた後、転勤ができないことが発覚した場合に基本給の差額を半年分遡って返還させること、金額も、月額2万円(半年分で12万円)にとどまること、従業員としては、自身の転勤の可否について適時に正確に申告していれば、返還をしなければならない事態を避けることができる。本件規定は、労働者に過度の負担を強い、経済生活を脅かす内容とまではいえず、賃金全額払いの原則の趣旨に反するとまではいえないから、実質的に同原則に反し無効であるということはできない。

 

 

③会社では、広く転勤を行っていること、社員が自身のライフステージに合わせて職群を選択することで、転勤の範囲を自由に選択、変更できる人事制度を整備する一方、転勤可能者を確保する趣旨から、月額2万円の賃金差を設けていること、社員らに転勤の可否について適時に正確な申告を促し、賃金差と転勤可能範囲に関する従業員間の公平を図る趣旨で、本件規定を設けている。会社側で当該社員の転勤に支障が生じた時期や事情を客観的に確定するのが通常困難であることから、原則として、転勤に支障が生じた時期や事情にかかわらず、一律に半年分の賃金差額を返還させることとしており、仮に転勤に支障が生じた時期が半年以上前であっても、半年分を超える返還は求めていない。本件規定を含む上記のような人事制度は、従業員にとってもメリットのある内容といえ、返還を求める金額や適時に正確な申告をしていれば返還を免れることができる点等に鑑みると、労働者に過度の負担を強いるものともいえず、一律に半年分の返還を求める趣旨についても合理的であるから、会社の業種、経営方針等に照らして、合理的な内容というべきである。

 

◆まとめ

本件は会社から従業員に返還を求めて訴訟という金額的に珍しいケースだったといえるでしょう。社員にもメリットのある制度であり、半年を超える遡及返還はないことから合理性が認められたといえるでしょう。

 

 

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