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服務規律違反による解雇無効!?② ~北沢産業事件(東京地判平19・9・18)~

東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!

 

今回は服務規律違反により即時解雇を行った結果、訴えられた裁判例を紹介します。

 

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【目次】

◆事実の概要

◆事件の争点

◆判決の判断

◆まとめ

 

 

__________________________________________

 

 

◆事実の概要

社員は平成18年7月31日、以下の理由により即時解雇されました。

① 他の社員の誹謗中傷や副業の実施に係る不正な私用メールの発覚を怖れ、海外の仕入れ先などとのメール送受信のデータを、会社に無断で消去した。

② 社員の後任の海外部部長より、送受信したメールのデータの提出を命じられたが、重要なメールは全て担当者に転送したなどとして、業務に関するデータの虚偽の報告をした。

③ 社員本人のパソコンで行っていた海外部の通信業務で、社内監査室立会いの下での業務引継ぎの際に、海外の通信業務は各担当者のパソコンで送受信を行っていたとの虚偽報告をした。

④ 会社顧問に対し、当該部長が辞令を受け取ったその場で業務引継ぎを全面拒否したなど事実に反する説明をしたり、海外の取引先などに対し虚偽の事実(会社の一部長が解雇された旨)を報告し、名誉を侵害した。

⑤ 社員2人及び他の部長1人に対して誹謗中傷を行ったり陰湿ないじめを行い、そのうち社員1人を退職させてしまった。

⑥ 勤務時間中に、他の社員の誹謗中傷や業務と無関係のメールの送受信を繰り返し、社外の知人との間でも多数の私用メールの送受信を行った。

⑦ 会社の本社各部署、各支店等に、「一部の人間の会社私物化の抑制のため」などと称し、労働組合の結成を呼びかけたり、新社長に反対する取締役3人が報復人事で左遷されたなどとするメールを送信した。

⑧ 会社の了解なく、勤務時間内外において、会社所有のパソコンを用いて、副業としてドイツ語小説の翻訳を行い、通常業務に支障を来すなど、職務専念義務に違背した。

⑨ その著書の中で、会社の機密を暴露したり、都労委で審理された不当労働行為救済申立事件において、会社の機密書類の稟議書を証拠として提出した。

 

本件即時解雇について、会社は社員にに対して告知、聴聞の機会は与えませんでした。

 

社員は、本件即時解雇の無効を主張し、労働契約上の地位の確認および本件即時解雇以降の未払賃金および賞与を請求し、会社を提訴しました。

 

 

◆事件の争点

 

①小説の翻訳行為

 

②著書の内容

 

③その他行為の検討

 

 

◆判決の判断

① 社員は、出版された翻訳小説を役員等に配っていたところ、注意や処分を受けたことはなく、かえって社長からは、よく頑張ったと言われていることより、副業で翻訳業をしていたことは会社では周知の事実であったが、これに対して注意や処分はなされておらず、副業は少なくとも黙示的に許可されていたというべきである。よって、解雇事由にはあたらない。

 

 

② 著書の中で記載している内容は、いずれも抽象的で機密事項ともいえないエピソードを書きつづったものに過ぎず、事業や重大な秘密や個人情報を漏洩したものではない。また、都労委での審理の事件において、社員が証拠として提出した稟議書は、平成4年に秘書技能試験1級に合格したことによって、秘書手当を増額したことに係る稟議書であって、文書の機密性はない、もしくはあってもごく低く、重大な秘密や個人情報の漏洩とはいえない。よって、解雇事由にあたらない。

 

 

③ その他は、就業規則に該当する解雇事由に該当する。しかし、会社は、いずれも本件即時解雇の1年以上前から把握していた事実であって、その間社員に対して、上述の事由の事実関係について事情聴取がされたり、口頭による注意がされたこともないことからすれば、上述の事実が発覚した当時、会社がこれらをどれだけ問題視していたかは疑わしいというほかない。また社員の行為は軽視できないものがあるのも事実であるが、約1年間、特段問題とされる行動をしていなかったのであるから、告知・聴聞の機会のないまま解雇することに相当性はない。以上により、本件即時解雇は社会通念上の相当性を欠くものとして、無効である。

 

◆まとめ

社員は相当に悪質な行為をしていたのにもかかわらず、約1年間の放置及び告知・聴聞の機会を設けなかったことにより解雇無効となりました。問題行動について把握した場合ただちに処分を検討すること及び聴聞等の機会を設けることはとても大事なプロセスといえるでしょう。

 

いかがでしたでしょうか?服務規律を見直したい、時代・社風に合った服務規律を整えたい等をお考えの方はお気軽に東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にお問合せください

 

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