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休職による退職が有効!! ~ケー・アイ・エス事件(東京高判平28・11・30)~

東京・銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズです!

 

今回は会社が休職期間満了による退職で訴えられたケース(ケー・アイ・エス事件)をご紹介いたします。

 

休職の詳細は こちら!

 

 

【目次】

 

◆事件の概要

◆判決の争点

◆判決の判断

◆まとめ

 

 

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◆事件の概要

社員は、平成23年1月21日から腰痛悪化により就労が困難として休職しました。社員の腰痛の状態は回復せず会社は、平成24年1月20日に所定の休職期間が1年を経過したことを理由に甲を退職扱いとしました。社員は、「コンテナ容器を中腰で下端部に両手をかけて持ち上げて傾ける方法により殺菌器内にスパイス原料を投入する作業を行っていた。その重量は200Kgから250Kgに達し、このように負荷の大きな作業を繰り返すことにより、腰痛を発症させたもので、就労不能となったのは業務上の原因によるもの」と主張し、会社が休職期間満了により社員を解雇、退職扱いとしたのは、労基法19条(業務上の負傷・疾病と解雇制限)の定めに違反し無効であるとして、雇用契約上の地位の確認等を求めました。なお、平成26年に労災認定をされており、一審は社員の主張を全面的に認めました。

 

◆判決の争点

 

①作業の態様

 

②既往症との関係

 

③労働基準法19条の適否

 

 

◆判決の判断

 

①社員は中腰の姿勢でコンテナ容器の下端部に両手をかけて持ち上げて傾ける方法を取っていたと主張する。しかし、約230kgの原料入りコンテナ容器の下端部に両手をかけて持ち上げ、コンテナ容器を傾けるためには、少なくとも「115Kg」を持ち上げる力を必要とする。小柄で細身の社員では、上記方法によりコンテナ容器を傾けることは物理的に不可能である。本件作業はコンテナ容器を両手で押して勢いを付けて段差部分に衝突させ、その際の衝撃を利用してコンテナ容器を傾けさせスパイス原料を投入する態様と認められる。

 

②社員は小学生の頃に陸上競技の激しい練習から腰痛を発症し、20歳頃まで腰痛が続いており、慢性化していた。もっとも社員の腰痛は、自宅から約10km弱の自転車通勤が可能であったことなどに照らせばその程度は比較的軽微なものであったといえる。平成22年7月の自転車転倒事故まで自転車通勤を続けており、腰痛の程度がその当時悪化していたとはいえない。

 

③本件作業中に腰痛の発症、悪化があったとしても、それは以前から羅患していた慢性的な腰痛が日常生活上の通常の作業によって一時的に悪化したことがある程度のものにすぎず、その原因が本件作業にあったということは到底できない。船橋労基署長による認定は、本件作業が社員の主張する態様のものであったとの誤った事実を前提としている。したがって、社員の休職は、私傷病による休職であったことになるから、労基法19条の適用はない。そして会社の休職期間延長、面談機会の設定等にもかかわらず、甲は復職や休職期間の再延長を申し出ることもなかったという経緯に鑑みると、自然退職を無効と解すべき事情もうかがわれない。よって、休職期間満了をもって雇用契約上の権利を有する地位を喪失したと認められる。

 

 

◆まとめ

一度は労災認定が下りたこともあり、一審では社員の主張が認められましたが控訴審で判決が覆りました。腰痛は既往症との関係で労災認定のハードルが高く、業務災害とならないケースが多くあります。就業規則の規定通りに休職期間を満了させており、会社としては然るべき手続きを取っていたことも判決の大きな要因でしょう。

 

いかがでしたでしょうか?休職について適正に手続きを行いたい、退職後も傷病手当金を受給できるようにしてあげたい等でお悩みの方は東京銀座の社会保険労務士法人Aimパートナーズまでお気軽にご連絡ください!

 

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